宝塚歌劇の花組「巡礼の年~リスト・フェレンツ、魂の彷徨~」新人公演が21日、兵庫・宝塚大劇場で行われ、新人最終学年7年目の侑輝大弥(ゆき・だいや)が初主演を務めた。

本公演でピアノの魔術師・リストにふんして主演している花組トップ柚香光からは「もっと自然に。呼吸を大切に」と助言を受け、初めてセンターに立った。

「本日は本日のリストを生きられたので、よかったと思います」。この日は「侑輝大弥として舞台に立っている瞬間はなかったかも」とも言い、ここまで役になりきるように稽古に励み、その成果を発揮できた充実感も口にした。

本番の舞台で、大劇場のセンターに立つと「とってもライトが明るくて、何も見えなくて(笑い)。いや、でも、見えてはいたんですけど…。役柄のリストが求めている光にもすごくリンクして、気持ちが良かったです」と満面笑みで振り返った。

侑輝は16年入団。身長173センチ、華やかなルックスで注目されていた。だが、コロナ禍にあって、なかなか主演の機会に恵まれず、新人最終年にやっとつかんだ主演の座。「(本役の)柚香さんがさらっとされていることを、私は何億倍もかかってしまう。本当に男役としても、人間としても、まだまだだと思いました」と課題も胸に刻んだ。

相手役を務めた星空美咲は19年入団の105期生。4年目ながらすでに宝塚バウホールや、ドラマシティーなど外部劇場でのヒロイン経験はあるが、コロナ禍の影響で、新人公演は初ヒロイン。「(新人公演は)この日1回にかける緊張感。だからこそ出てくるエネルギーは、とてもおもしろいと思いました」。

本役のトップ娘役星風まどかからは「リスト(主役)への愛(の表現)と、細かい所作、歩みだけでも(星風は)すごく印象的でした」と、演じ方を学んできたといい、「今日できなかったことを課題に、もっともっと進化していきたい」と話していた。

東京宝塚劇場での新人公演は8月11日。