テレビ朝日系で4日に最終回を迎えた連続ドラマ「妖怪シェアハウス-帰ってきたん怪-」の映画版「妖怪シェアハウス-白馬の王子様じゃないん怪-」(豊島圭介監督)が、全国の映画館で公開中だ。シェアハウスで“同居”する小芝風花(25)松本まりか(37)池谷のぶえ(51)が、スクリーンから飛び出し、日刊スポーツ「エンタメ最前線」で“わちゃわちゃ座談会”を開催。撮影の裏側、作品の魅力を語り合いました。【村上幸将、加藤理沙】

「妖怪シェアハウス」は、20年7月期にドラマのシーズン1が放送された。目黒澪(小芝)は結婚を考えていた男に捨てられ、行き倒れたところを看護師の四谷伊和(松本)に助けられ、シェアハウスに連れて行かれる。管理人の和良部詩子(池谷)らに厚くもてなされたが、伊和はお岩さん、詩子は座敷童子と住人が妖怪だと知り仰天。それでも無一文で居候する中で、人間に姿を変えて働く妖怪たちに励まされ、たくましく成長していく。原作がないオリジナル作品ながら、コミカルで人情味あふれる物語が人気を呼んだ。

-シェアハウスでの、わちゃわちゃ感は、皆さんの素の関係が、そのまま出た感じ。伊和と詩子は母のように澪を見守っています

小芝 間違いないです。

池谷 本当に、そうです。横でがっちり。風神雷神のように。

小芝 撮影は本当に、わちゃわちゃしていて!

松本 いかに、わちゃわちゃするか(笑い)。

シーズン1から1年半を経て放送の「-帰ってきたん怪-」では、小説家になる夢を見つけ、羽ばたいた澪が夢破れ、シェアハウスに里帰りしてしまう。「-白馬の王子様じゃないん怪-」では、澪は友人の笹原小梅(井頭愛海)に勝手に登録された大流行のAI恋人アプリ「アイラブ」に現れた理想のタイプの男性ツトムに苦境を救われ、はまる。ある日、上司にむちゃ振りされ、英国生まれの天才数学者AITO(望月歩)を取材する中、距離が縮まり恋心を抱く。

-もしも、AI恋人アプリを使ったら…はまる?

小芝 昔、恋愛シミュレーションアプリをやったことがあるんですけど、なかなか話が進まなくて。私、漫画も結構、一気に読みたい派だから、「ああもう無理!」ってなって、はまらないと思う(笑い)。

池谷 恋愛バラエティーが大好きなので、ハマりそうな気がします。

松本 アナログ人間なので、タイプの理想の人が現実に出てきたら、はまりたいですね(笑い)。

-いつも駄目な男に、だまされる澪。妖怪たちは澪を傷つける者を許さない

小芝 澪の運命、宿命ですね。良い言い方をするとピュアなんです。だからこそ妖怪さんたちが「澪、放っておけない!」って思ってくれるんですけど(笑い)。どれだけ、ひどい目に遭っても、だまされても人を信じることをやめない。そこが、おバカなところで、かわいいところ、いいところだなって思います。

裏切った夫に幽霊になって仕返しする「四谷怪談」の悲劇のキャラクター、お岩さんをポップかつキュートに描いた伊和は、松本がこれまで演じた役の中で、最もファンから愛されていると言われるほど評判だ。

松本 (演じていて)遊べるし、気楽だし。澪がいてくれて、私たち妖怪4人で、わちゃわちゃやっている感じが、とにかく、すごい楽しくて! 自由度で行ったら一番、自由なんじゃないかな。

小芝にとって「妖怪シェアハウス」は民放連続ドラマ初主演作で、主演の連ドラの映画化も初と大事な作品となった。

小芝 もともと、妖怪とか不思議な生き物とか好きなタイプなので、お話を聞いたときも、楽しそう! と思って。妖怪を演じてくださるのが、個性的でお芝居が、すばらしい方たちばかりだったので「この人以外、この妖怪考えられない」って言うくらい皆さんが、はまっていて…。私は、この作品の妖怪さんたちが一番、愛くるしいと思っています。愛したいキャラクターを皆さんが作ってくださるので、私は、本当に現場でケラケラ笑っているだけです。

-「妖怪シェアハウス」は、この先、どこに向かって欲しい?

小芝 ハリウッドですよね(笑い)。「ザ・ムービーで帰ってきましょうよ」って冗談で話していたら今回、実現したので「じゃあ、次はハリウッドだ」って。

池谷 海外の妖怪とかね。ドラキュラとか…。

松本 伊和ちゃんは海外が大好きだと思うので、海外での、お岩さんも見たい。本当に大変なんだけど続けて(共演者と)ずっと一緒にいたいと思えるので。

小芝 もしくは舞台化!?

松本 シーズン2の初日から話し合っているもんね。アニメ化もいいんじゃない? 声だけ出演。

池谷 もっとスペクタクルなことができるかもしれない!

松本 漫画化とかどうかしら? 私たち出られないけど。

小芝 そっちが続いて「私たち出られないん怪?」ってなっちゃいますね。

松本 それは、やめましょう(笑い)。

-改めて、公開された映画への思いは

小芝 ドキドキしています。「妖怪シェアハウス」が大きいスクリーンで流れて、お客さんはどういうふうに感じてくださるんだろうっていう不安はあります。ただ、シーズン1で「もっと見たい」という声をいただけたからこそ、シーズン2と映画化につながったと思う。皆で作ったオリジナルの作品が、視聴者の方にも伝わっていたというのは感じましたね。

松本 大人も楽しんでもらえる意外と深いテーマ、大人のテーマが隠されているので老若男女、楽しんでもらえる、見てもらえる映画、ドラマ作品だと思う。

池谷 映画の最後も、澪ちゃんが実は何かの末裔(まつえい)じゃないか? みたいに、におわせていたので、期待はしているんですけどね!

小芝 私も、妖怪をやりたい! (演じる澪が)人間だから、寂しくなっちゃうんですよ。皆さんのキャラが、すばらしすぎるので私もやってみたい!

◆小芝風花(こしば・ふうか)1997年(平9)4月16日、大阪府生まれ。11年「ガールズオーディション2011」でグランプリ。翌12年のフジテレビ系「息もできない夏」で女優デビュー。14年の映画「魔女の宅急便」に主演しブルーリボン賞新人賞受賞。16年のNHK連続テレビ小説「あさが来た」に出演。今秋に「貞子DX」、23年に「Lady Kaga レディー・カガ」と2本の主演映画の公開を控える。

◆松本まりか 1984年(昭59)9月12日、東京都生まれ。00年のNHKドラマ「六番目の小夜子」でデビュー。04年「ガチャポン」で映画初出演。18年のテレビ朝日系ドラマ「ホリデイラブ」で注目される。昨年のWOWOW「向こうの果て」で連続ドラマに初主演し同じ内田英治監督の映画「雨に叫べば」にも主演。今年はNHK「17才の帝国」や映画「極主夫道 ザ・シネマ」に出演。

◆池谷のぶえ 1971年(昭46)5月22日、茨城県生まれ。94年に旗揚げの劇団「猫ニャー」(後に「演劇弁当猫ニャー」)に04年の解散まで所属。生瀬勝久、池田成志、古田新太の演劇ユニット「ねずみの三銃士」の20年「獣道一直線!!!」で読売演劇大賞優秀女優賞受賞。舞台のみならず映像作品への出演や声優として活躍の場を広げ、映画では19年「長いお別れ」、20年「浅田家!」「星の子」に出演。