シンガー・ソングライター吉田拓郎(76)が20日、5年ぶりに復活したフジテレビの音楽バラエティー番組「LOVE LOVE あいしてる 最終回・吉田拓郎卒業SP」に出演した。番組を共にしてきたKinKi Kids堂本光一(43)堂本剛(43)らに加え、明石家さんま(67)木村拓哉(49)ら豪華なゲストにも見守られる形で最後のテレビ出演をし、ラスト歌唱を見せた。

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最後のテレビ出演も、拓郎らしかった。オープニングに披露したのは、同番組の主題歌として拓郎が書き下ろした「全部だきしめて」。KinKi Kidsの2人にゲストの木村を加えて、長いキャリアの中で数本しか持っていないという愛用のアコースティックギターをかき鳴らしながら、パワフルに歌った。

音楽へのこだわりも随所に見せた。番組内で披露した「落陽」は、収録当日に「半音上げよう」と剛に提案。あいみょんや奈緒(27)とのトークでも、今なお若手から刺激を受けていることを明かし「君らの力が大きいんだ」と力説した。

番組で恒例だったトークでも“拓郎節”は健在。木村をゲストに呼んだ理由について「とにかく格好いいことが大好き。ギターもかっこよく弾かないやつは嫌いなの」と持論を展開しつつ、「オーラがないゲストいっぱいいたじゃない?」と本音で笑いを誘った。

先月24日、番組放送決定発表とともに「いろいろなことをリタイアしたいなと考えていまして。テレビとのお付き合いも『LOVE LOVE-』で最後にしたいな、と随分前からありました」と最後のテレビ出演となることを明かした。

先月26日のブログでは「引退とかそういう言葉なんてのは まあ、大した意味は持たない…って思うんだなー」と記述。この日の番組では最終回を迎えたことについて「最後というのではなく、ここでいったん卒業ということで」としたが、今後は年内のラジオ出演を残すのみ。「僕はもう歌わないもん」とも話した。 サプライズ出演のさんまが「また帰ってくるんでしょ?」と突っ込んだが「違うってば」。光一から「拓郎さんもまた曲を作って…」と振られると「だから俺はやめるって言ってる…」と意思の固さも示した。VTR出演した泉谷しげる(74)も「本当に尊敬しその判断に大変、敬意を表したいと思います」と話した。

最後に披露したのは、拓郎が作詞し、剛と光一が作曲した「Sayonara あいしてる」。思い入れのある番組での有終の美。「本当に大きい存在だった」という剛と光一から花束を受け取ると感極まった様子で、目を潤ませた。

○…ラストと銘打っている先月29日発売の最新アルバム「ah-面白かった」は、6・4万枚(25日付オリコン調べ)を超え、堅調なヒットを続けている。今後はライブやイベント出演などは予定されておらず、現在月1回で放送されているニッポン放送のラジオ番組「吉田拓郎のオールナイトニッポンGOLD」も年内で終了予定。来月12日(午後10時)放送回には、あいみょんがゲスト出演することが決まっている。

<吉田拓郎とテレビ>

▼出演拒否 70年代にテレビ出演を拒否。一部音楽番組への出演のみにとどまった。その後のニューミュージックの歌手に大きな影響を与えた。

▼NHK「愉快にオンステージ」(89年~) 番組ホストを務めた。80年代後半から徐々にテレビ出演も増え、TBS系ヒューマンドキュメンタリー番組「地球ZIGZAG」で93年から司会も務めた。

▼「NHK紅白歌合戦」 かつてはオファーを受けても断っていたが、94年に初出場を果たして「外は白い雪の夜」を歌った。当時「時代が動いているんだよ。ニューミュージックの中では先例のない50歳近くになって、どうしたらいいか探りを入れてるんだ。若いころはテレビだけでなく何でも拒否だったけど、何でもいい年齢になったんだよ」と笑ってコメントしていた。

▼「LOVE LOVE あいしてる」 96年スタート。当時デビュー前のアイドルKinKi Kidsと共に司会を務め音楽バラエティーにレギュラー出演するという意外性が話題となった。01年3月の番組終了後も、17年7月に放送された特番などに出演。