HTB北海道テレビの開局55周年ドラマとして制作される「弁当屋さんのおもてなし」(23年春放送予定、4話連続放送)の主人公、小鹿千春役に札幌出身の女優、久保田紗友(22)が起用されることが29日、明らかになった。同ドラマの原作は札幌出身の喜多みどりのグルメ小説で、札幌の路地裏にある「くま弁」が舞台だ。久保田以外にも弁当店の店員、大上祐輔(ユウ)役には飯島寛騎(26)、常連客の黒川晃役には戸次重幸(49)の出演も決定した。原作者、主要キャストの3人がともに札幌出身。札幌の放送局が手がける、“メードイン札幌”のドラマ制作がスタートした。

注目されたドラマのヒロインの名前が明らかになった。13年、BS-TBSドラマ「神様のイタズラ」で初主演し、「べっぴんさん」「過保護のカホコ」といった話題作や映画に数多く出演した久保田が主役を射止めた。「北海道出身者として、この機会をいただけたことを光栄に思います。現場の雰囲気が良くて、そのまま作品に反映するのではないかと思っています。見てくださる方の心を癒やせるようなドラマ作りができれば」と、意気込みを話した。

地元のテレビ局だからこそ描けるテーマだ。二股をかけられ、傷心のまま東京から札幌市へ転勤してきたOLの千春が、内なる願いをかなえる「魔法のお弁当」の作り手・ユウと出会い、その食事で凍った心が少しずつ温まっていく。舞台も主要キャストも札幌出身。オール北海道ロケでロケ地の「9割9分」が札幌という。戸次は「(出演者が)同じ札幌出身というのは勝手に親近感がわくものなんですね。ウキウキしながら現場に行ってます」と話した。

原作者の喜多は「私が北海道の空気や大地から受け取ったものを、視聴者の皆様にも感じていただければうれしいです」とコメントした。また、橋本秀利エグゼクティブプロデューサーは「北海道ならではの空気感や、北海道の誇る食材をふんだんに盛り込んだ作品。おなかも心も満たされるドラマになります」と抱負を述べた。

19年3月に開局50周年ドラマとして放送した「チャンネルはそのまま!」は主演の芳根京子が熱演、TEAM NACSのメンバー全員も出演して高評価を得た。作品はその年の日本民間放送連盟賞テレビ部門グランプリも受賞。受賞以来となるドラマ制作だけに話題性も抜群だ。久保田は「(演じる)千春は本来、明るくて、面倒見が良くて世話好きな女性。周囲が自然と助けたくなるような人物です。愛されるようなキャラクターになるよう監督を信じて、演じます」と話した。ヒット作となった前作に続く実写化シリーズ第2弾の完成が、待ち遠しい。

 

◆久保田紗友(くぼた・さゆ)2000年(平12)1月18日、札幌出身。13年、BS-TBSドラマ「神様のイタズラ」で初主演。ドラマは「オー!マイ・ボス!恋は別冊で」(TBS系)、「わげもん~長崎通訳異聞~」(NHK)、「トモダチゲームR4」(テレビ朝日系)〓「雪女と蟹を食う」「僕の姉ちゃん」(テレビ東京系)、映画は「サヨナラまでの30分」「モルエラニの霧の中」「藍に響け」など多数に出演している。来年3月には舞台初主演となる「たぶんこれ銀河鉄道の夜」が控えている。159センチ。

 

〇…主要キャスト3人が24日、HTB本社で会見し、戸次がマシンガントークをさく裂させた。冒頭で「ただいま、ご紹介にあずかりました仮面ライダーベイル、仮面ライダーデストリームの仮面ライダー俳優、戸次重幸です」と、「仮面ライダーエグゼイド」で主役を務めた飯島に対抗して出演作をアピール。主演の久保田から「現場に入っただけで華やかになる。すごい人。大尊敬」と言われると間髪入れず「(久保田に)カレーとラーメンをごちそうしておいて良かった」と笑わせた。

HTBの星悠平プロデューサーが「実際の店舗ではなく、いつでも復元できるように局内にセットを組みました」と、ドラマのシリーズ化も視野に入れた発言にすかさず反応。「その場所は、(同局で出演する番組の)『ハナタレナックス』で使っているスタジオなんです。シリーズになると、私たちの収録する場所がなくなる。最終的には我々が(情報番組の)『イチオシ!!』のスタジオで…」と切り返し、会場は笑いに包まれた。