デーブ・スペクターが14日、都内で行われた ドキュメンタリー映画「戦場記者」(16日公開)公開直前イベントで、マスメディアの必要性を強く訴えた。

「戦場記者」は、TBSに在籍し、JNN中東支局長として英ロンドンを拠点に世界各地を取材する、須賀川拓監督(39)の取材と、平時の姿を描く。パレスチナのガザ地区やウクライナ、アフガニスタン、世界の戦地を取材し、テレビでは伝えきれない紛争地の生の空気や、戦争で生活を破壊され、あえぐ一般市民の声をSNSやYouTubeを駆使して配信し、国際報道で優れた業績を上げたジャーナリストに贈られる「ボーン・上田記念国際記者賞」を受賞した記者の葛藤まで描いた映画だ。

デーブは「テレビで裏方でもある自分から言うと、テレビで放送されるリポートは3~5分。映画は、その裏側が見られる。裏側が一般に見られることはない」と映画を評した。その上で「テレビは見ない、TikTok(ティックトック)しか見ない、という若い世代の人がいるが、ニュースはあなたの元に、どう届くんですか? と言いたい」と客席に問いかけた。そして「戦地の人がiPhone(アイフォーン)で撮ったり、ワンマンで取材している人もいるけれど、維持するのは簡単ではない。大手メディアしか出来ないことがあるこを忘れている。テレビ、新聞もそうですがメディアは規模がないとできない。今あるメディアが頑張って届けるのが大事な時代。どうしても必要なレベルの取材が必要…ありがたいと、この映画で実感しました」とマスメディアの必要性、重要性を訴えた。

須賀川監督は「個人で出来ることは非常に限られている。会社が持っていたネットワーク、資金もないといけない。会社の幹部に言うと怒られると思うけれど、お金のあるメディアは、これから現場に行くのは大事。安全はお金で買える…それは大手メディアだから出来る。感謝しつつ、リソースを使わないと、伝えるものも伝えられなくなる」と、デーブの発言にうなずいた。その上で「(個人が発信したニュースは)どれがフェイクで本当か分からない。シリアで起こったことがイエメンで発信されたり、よほどの知見がないとフェイクを発見できない。だから僕らは頑張らないといけない」と力を込めた。

デーブは「昨今は、コンプライアンスもあり、危険になると日本のメディアは現場からいなくなる。日本の場合、記者は社員だけれど、米国は契約という違いもある。現場に残して欲しいというジレンマがある?」と須賀川監督に問いかけた。同監督は「社としての判断は分からない。でも、ある程度、安全はお金で買うことが出来る。防弾車両を用意したり、長距離は車列を組む。2台、手配すれば何千ドルかかる。使うことが出来て(戦地の)実態を伝えることが出来るか分かれば、私たち、他社さん含め現場取材を考えると思う」と答えた。

デーブは「あとはセコムに頼むとか…でも危険は危険」とジョークを交えつつ、答えた。デーブとともに、イベントに登壇した戦場カメラマンの渡部陽一氏は「危機管理を、どう(取材する記者、メディアの)足元に着けるか。現地で生まれ育った人だから感じる危険、情勢の変化…その方と長期で組めれば安心を足元に引き寄せられる。地域を知り尽くした方と繋がりを持つのも危機管理の1つ」と危機管理について持論を展開した。

須賀川監督は「すごく大事な一歩、クルー全員の意思統一が大事、1人が危険だと言ったら行かない。例えばウクライナに行った時、セキュリティークルーの人が『(英国の)BBCと一緒にリビアで仕事してボンボン、爆弾が落ちたところで取材したから、大丈夫』と言うけれど、彼とは基準が違う」と現場の取材を踏まえて説明した。