俳優中山麻聖(34)が、放送中のTBS系連続ドラマ「Get Ready!」(日曜午後9時)で初の医師役を演じている。このほど、日刊スポーツの取材に応じた。【聞き手=小谷野俊哉】

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ドラマでは、実家がお金持ちで、“チャライケメン”の千代田医科大付属病院の外科医・幾田洋一役を演じている。主演の妻夫木聡(42)演じる、多額の報酬で手術を引き受ける闇医者のチームが「ホーム」にする病院だ。

「東京でも指折りの名医がそろっている病院の、花形の医者チームに所属しています。実家がお金持ちのチャライケメンというキャラをいただきました。医者役は初めてなので、これまでいろいろと演じてきた中で、どれだけ力を発揮できるのか、という場所でもあります」

医者としての演技はもちろん、それ以上に気を使って演じているのが、外科の医局での人間関係を描き出すことだという。橋本マナミ、一ノ瀬颯、田野倉雄太、長見玲亜らが医局の仲間だ。

「外科医局でのシーンは4人だったり、5人だったりなんですけど、そこの関係性をどう見せるというのが課題です。短い時間の中で、どれだけその関係性が、見ている方に伝わるか。食事をしながらのやりとりだったり、言葉遣いだったり…。あと実家がお金持ちで教育を受けてきたという設定なので、食事をしている時は姿勢を正していてほしいとも監督からは言われています。そのメリハリをキャラクターとしていただいたので、楽しみながら、どういう風にやるか考えています」

医局チームは「Paravi」で動画配信されているスピンオフドラマ「ゲトレ夕暮れ大暴れ」にも出演している。医局のメンバーが仕事を終えバーでくつろぐところに、広瀬すず(24)主演のTBS系連続ドラマ「夕暮れに、手をつなぐ」(火曜午後10時)の俳優たちが、お忍びでやってくる設定だ。

「スピンオフの山口淳太監督とは初めてなんですが、作品を見ていて長回しが得意そうな印象でした。最初に台本をいただいた時に、10分という限られた時間で起承転結、いろいろなことが発生するテンポも速かったんです。それで、現場に入った日に長回しで撮ることを知りました(笑い)。まさか本当に360度カメラを置いての一発撮りとは…。10分10話なんですけど、最初から最後まで10分間長回しもあります」

04年、16歳の時に映画「機関車先生」で俳優デビュー。さまざまな経験を積み、30代に突入している。

「何より責任感というのが、だいぶ重くなってきたという感じがあります。若い頃、20代の頃は『できたらすごい』という風に見られますけど、もう30代になってくると、できて当たり前で、スタートラインが変わってくる。最低限はできなきゃいけない、自分のラインがかなり変わってきました」。

父は俳優三田村邦彦(69)、母は元女優中山麻理さん(75)だ。

「父とは、コロナになってからちょっと縁遠くなっちゃいましたけど、連絡は常に取り合ってます。父が言ってたんですけど、亡くなった藤田まことさんから継いだことで『自分からアドバイスはしない』ということを守っているんです。僕が芝居に関して質問したことに対しては、全部答えてくれます。でも、そうじゃない限りは、作品を見てくれていても『こうした方がいい』っていうのは絶対に言わないという…。それを聞くまでは、ずっと興味を持ってくれてるのか不安な部分があったんですけど、聞いて納得しました」

芸能界を引退している母の麻里さんは、世間一般の母親と変わらないという。

「いろいろ、母親ならではの心配はあるようで…。作品のオンエアは、僕が知らせる前に見てくれていました。でも、直接は何も言わない。僕も恥ずかしいですからね。『どうだった?』みたいに聞くのはね。ただ、こういう作品に出るっていう報告がないと、なんか不安みたいですね。そういう意味では、やっぱり子供はどれだけ成長しても、親との年齢は縮まらないのでね。いつまでも親子なんですよね」

昨年暮れに、34歳になった。

「自分が学生時代に抱いていた30代とか、40代手前の大人には、なれていないと思います。まだまだ、全然ですね。もっと、しっかりしているイメージでした。すごくポジティブに言えば、若いっていうことなんですけど。僕の中では、本当にまだ青い、年齢に中身が追いついていないっていう自覚がある。一刻も早く、それは埋めていかないとと思います」

休みの日は、いろいろな作品をチェックする。

「基本的には録画したテレビ番組を見ています。ドラマも、バラエティーも。あと、ここ数年で結構自炊をするようにしたので、料理に関する考えを巡らせています。得意料理は、自分でこれは! と思ったのは(夏野菜を炒めて煮る)ラタトゥーユ。“男飯”というか、焼いただけ、ゆでただけ…という時もありますけどね。料理って、ある意味、創作じゃないですか。どこか芝居に通じる部分もあるのかなと思って。ちょっとだけ変えるだけで、だいぶ変わってくるとかもあると思いますし」

スポーツは身体作りも兼ねて、ボルダリングをやっている。

「どちらかというと体幹を鍛えるのと柔軟性ですかね。重心を変えるだけで体が楽に動くというのは、ボルダリングを通して初めて知りました。今回、医療ドラマに携わらせていただくことによって、今まで自分が見たことないもの、触れてきたことがないものに触れさせていただく機会がありました。何か自分に新しい刺激を取り入れていけたらと思っています。あとは、殺陣を長いこと習っていることもあるので、乗馬をやってみたいんです。裸馬(はだかうま)にも乗れるようなスキルは身につけたい。乗れる、乗れないだけで見栄えが全然違いますからね」

30代も中盤から後半にさしかかっていく。

「特に40歳というのは見定めてはないんですけど。自分の周りにいる年上の大人に対しての距離感というのは、だいぶ縮まった印象はあります。それはプラスの意味というより、自分の危機感ですね。こういう大人にならなきゃいけないという義務感もですし、責任感も…。お手本になる方が周りにありがたいことにたくさんいるので、そういう人を見て、学ばせていただくことはかなり多くなると思います」

◆中山麻聖(なかやま・ませい)1988年(昭63)12月25日、東京都生まれ。父は俳優三田村邦彦、母は元女優中山麻理さんの三男。タレント中山エミリ、英玲奈姉妹はいとこ。04年映画「機関車先生」で俳優デビュー。05年テレ朝系ドラマ「仮面ライダー響鬼」。06年ミュージカル「テニスの王子様」。12年映画「アノソラノアオ」主演。14年テレ東系「牙狼〈GARO〉-魔戒ノ花-」主演。19年映画「轢き逃げ最高の最悪な日」主演。趣味は座禅、ピラティス、中国ゴマ、アニマルバルーン。特技は殺陣、剣道初段。182センチ、60キロ。血液型B。