四川飯店グループ取締役会長の陳建一さんが11日午後0時7分、間質性肺炎のため都内の病院で67歳で亡くなった。陳さんが中華の鉄人として出演したフジテレビ系「料理の鉄人」(93~99年)で審査員を務めた服部栄養専門学校理事長の服部幸應さん(77)も無念さを募らせた。

昨年末に入院する直前に会っていて「陳さんは『元気だよ、元気』っていつも快活に答えていて、最後に会ったときもまったく同じ様子だった。亡くなったことは息子の健太郎さんから直接聞きました。本当に残念でショックを受けています」と声を詰まらせた。

服部さんは「僕より10歳も若いんだよ。35年前にうちの学校に講師としてきてくれて、その時はまだひ弱なボンボンだった。『料理の鉄人』に起用するときも、僕は若すぎると反対したんです。だけど料理ジャーナリストの岸朝子さんが『若いから、逆に苦労させる方がいいのよ』って言ったので、僕も了承しました。最初は先輩たちの中で苦労したけど、その苦労がマイナスにならなかった。たった6年の放送で、20年間も現場にいたような経験をしたと思います。先輩たちの姿を見ながら育った。息子の建太郎も同じように修業しないとね」と振り返った。

「料理の鉄人」で陳さんは黄色の衣装が定番で着ていた。「中国では黄色は『皇帝カラーなんですよ。これは素晴らしい』って喜んで着ていた」。「彼はものすごく優しくて、誰にでも親切な人だった。特に女性にはね」。女性の料理人との勝負では勝率が下がっていたが「手加減したわけでではないけれども、女性との相性は悪いときもあったねぇ。ゴルフ好きのテレ屋さんだから」と思い返した。

番組以外でもよく食べ歩いたそうで「陳さんはよく食べたね。フレンチでも日本料理でも、研究熱心だった。独創的な中国料理をつくる料理人だったけど、日ごろの積み重ねが味に反映されたんだろうね」と懐かしんだ。

「今の時代に60代で亡くなるのは早すぎるよね。陳さんは10年前にがんを患ったけど、治療して元気になっていた。心配していたけど、肺に来ちゃったのかな。残念ですね。ご冥福を祈ります」と話した。