英国のヘンリー王子(38)が、今年1月に発売した回顧録「スペア」やインタビューで過去の薬物使用を赤裸々に告白したことによって、米国での滞在資格を失う可能性があると米ニューヨーク・ポスト紙などが報じた。王子は著書の中で10代の時にコカインを使用し、大人になってからも大麻や幻覚作用があるとされるマジックマッシュルームを使用したことがあると告白している。大麻は米カリフォルニア州においては娯楽目的の使用も合法だが、マッシュルームやコカインの使用は認められていない。

元連邦検察官のネアマ・ラフマーニ氏は、「薬物使用の自白は、通常、容認できない根拠となる」と話し、王子が薬物使用を自ら告白したことで米国に滞在するためのビザが却下されたり、取り消されるべきだと同紙に述べている。法廷弁護士でもある同氏は、「王族であっても娯楽目的での使用であっても例外ではない」とも話している。

米国の移民局では、ビザを取得する際に薬物使用に関してうそを述べると強制送還や市民権の申請禁止などの罰則があるとされている。仮にビザ申請の際に王子が正直に薬物使用を認めていれば、却下された可能性が高いと同氏はニューズウィークリー誌にも話しており、実際に薬物犯罪で有罪判決を受けたかどうかは関係ないと述べている。

2020年に王室を離脱して米カリフォルニア州に家族と共に移住した王子がどの種類のビザを取得したのかは分かっていないが、英デイリー・メール紙は米国人である妻メーガン妃の夫として配偶者ビザを取得したか、「科学、芸術、教育、スポーツで並外れた能力を持つ人や映画・テレビで並外れた業績を残した人」に与えられる卓越能力者ビザ(Oビザ)を申請した可能性が高いと伝えている。

王子は母ダイアナ元妃を事故で失った悲しみやトラウマを癒すために薬物を使用したことなどを明かしているが、米保守系シンクタンクのヘリテージ財団が王子のビザの申請内容を納税者に開示するよう政府に要求していることなども報じられている。(ロサンゼルス=千歳香奈子通信員)