漫画家浦沢直樹氏(63)が25日、都内で行われた大型アニメイベント「AnimeJapan 2023」内の「ネトフリアニメ スペシャルステージ」に登壇した。

手塚治虫の「鉄腕アトム」の一編「地上最大のロボット」を浦沢氏がリメークした漫画「PLUTO」が、Netflixシリーズとして23年にアニメ化される。

先月アニメ化が発表され、浦沢氏は「随分前から内緒でやっていたので、言いたくて言いたくてたまっていた」と笑顔。原案となった手塚作品には5歳の頃に出会い、「心の中で、全漫画の中で中央に鎮座する漫画のイメージがあった。なんという切ない物語なんだと、5歳の浦沢少年は思った」と振り返った。また「えたいの知れない切なさを一生かかって突き止めようとする感覚がある」と影響の大きさを語った。

手塚治虫の長男で「手塚プロダクション」取締役を務める手塚眞氏も出席し、「『鉄腕アトム』の最初のテレビ放送からピッタリ60年で『PLUTO』を発表できることに、運命的なものを感じます」と喜んだ。また03年の「PLUTO」発売から20年たってのアニメ化には「20年も人気があるというのは本物の名作。『よくぞ浦沢さん、作ってくれた』と、うちの父も大変感謝していると思う。『俺の作品を風化させなかった。ありがとう浦沢くん』と言ってると思う」と語った。執筆当時を振り返った浦沢氏は「上の方から『浦沢氏、これはちょっと書き方が違うよ』と言ってくるんです」と“漫画の神様”の言葉を想像して笑わせた。

人間とロボットが共生する近未来が舞台のサスペンス。反戦への思いも込められ「手塚治虫さんが60年前に提示した作品が、今も有効であるということが僕の思う巨大な切なさなんだと思う。受け取ったバトンを渡していかない限り、この切なさは消えないと思う。皆さんも一緒にバトンを受け取って欲しい」と呼びかけた。

アトム役の声優日笠陽子、ウラン役の鈴木みのりも登壇した。