昨年11月28日に亡くなった、俳優渡辺徹さんのお別れの会が28日、東京・港区のグランドプリンスホテル新高輪で執り行われた。喪主を務めた長男でタレントの渡辺裕太(34)や妻でタレントの榊原郁恵(63)が家族愛あふれるあいさつをした。タレント約200人を含めた約1200人が参列し、渡辺さんをしのんだ。

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俳優業だけではなく、歌手、タレントなどとして幅広く活躍し、誰からも愛された渡辺さんを象徴するお別れの会となった。

祭壇は太陽のように明るい渡辺さんが舞台に現れるイメージで、夫婦2人の好きな色をテーマカラーにカーネーションやひまわりなど、1万1850本の花で彩られた。遺影は20年9月ごろ、夫婦で取材された際に撮影したもので満面の笑みを浮かべている。

喪主を務めた、長男でタレントの裕太は「お線香に火をつけて、笑っている渡辺徹さんに、お線香の香りを嗅ぎながら手を合わせるというのが、すごく不思議な感覚で、なれなくて寂しくて。ちょっと笑っちゃったりしてるような状態です」と素直な気持ちを吐露した。一方で「もう1回、父親と会話したいなと夜1人で目をつぶって笑顔の父親を思い浮かべて。その時に父親は『裕太あとは頼んだぞ』と笑顔で言ってきてくれたような気がします」と少しずつ前を向いて進む決意を語った。

裕太に続き、あいさつした榊原は「どんどん込み上げてくるものがあります。いろんな渡辺徹の姿があると思います。お父さんに『もう1度会いたい』と言って、声を聞きたくてVTRを作成して頂きました。会えたと思ったんです」と声を震わせていた。

この日で亡くなって4カ月。「自問自答する度に悔やまれることしか出てこなくて、夢にも出てこなくて。みんなの所に行っているんだろうと思っていました」と涙をこらえた。

献花と並行してお別れ懇談会も開催された。会場は「渡辺徹展」と題してテレビや舞台で活躍する姿、結婚式や日常の夫婦ショット、台本やレコード、等身大パネルなどが飾られた。ステージではお笑いコンビ中川家、サンドウィッチマンによる渡辺さんとの思い出トークが行われ、渡辺徹プロデュースお笑いライブ「徹座7」が9月2日、東京・浅草公会堂で行われると発表。最後は渡辺さんの代表曲「約束」を全員で歌った。

榊原は最後まで気丈に振る舞い「皆さんの心の中には私の知らない、渡辺徹の姿があると思います。これからも渡辺徹をよろしくお願いします」とあいさつした。妻の愛情と、父の背中を追う長男の憧れが詰まった会となった。【高橋洋平、加藤理沙、佐藤勝亮】

渡辺徹さん「お別れの会」に1200人 別れの言葉や生前の思い出語る/まとめ