乃木坂46久保史緒里(21)が、NHK大河ドラマ「どうする家康」(日曜午後8時)に出演する。グループ現役メンバー初の大河ドラマレギュラー出演を果たす。以前から「将来時代劇に出るかもしれないから」と耳にピアスの穴はあけず、黒髪を染めたこともない。努力と経験、高いプロ意識が結実した。

劇中では織田信長(岡田准一)の娘、五徳(徳姫)を演じる。幼くして徳川家康の嫡男・信康のもとに嫁いだ、気品にあふれ、気が強いが心根は優しい女性。徳川家で幸せに暮らしていたが、信長からの密命で数奇な運命に巻き込まれる役どころだ。

関係者によると、オーディションを経て出演を勝ち取ったという。NHK磯智明チーフプロデューサーは「20代でこれからという女優さんを探していた時、若いスタッフから久保さんの声があがりました」と明かした。昨年上演した主演舞台「桜文」などの演技も評価されたという。

磯氏は「何人か候補の女優さんに台本をお渡しして、オーディションで実際に演技をしていただきました。とにかく久保さんの演技が抜群に良かった」と説明した。人気アイドルグループメンバーの起用。「話題性(を重視した)と思われがちかもしれませんが、そうではないんです。単純に実力、演技力で決めました。決して話題作りではないです」と強調した。

マネジメント側の理解もあったという。ただでさえトップアイドルグループで、ライブやファンとのオンライン交流イベントなどに追われる日々。特に久保は最新シングル「人は夢を二度見る」でダブルセンターの一角を務める中心メンバーで、ニッポン放送「乃木坂46のオールナイトニッポン」(水曜深夜1時)にはパーソナリティーとして毎週生出演。グループきっての野球好きでWBCなど野球関連の仕事も多く、多忙を極めている。それでもNHKと乃木坂46の運営がスケジュールを調整し、念願の大河出演が実現した。

久保はオファーを受けた当時を「すごい役のお話をいただいたなって思いました」と回想した。織田と徳川の間に挟まれるような、難しい役どころだ。「史実を見ていたら、五徳の心情が分からなくなりました。『どうしてそんなことをしちゃんだろう』って。でも古沢(良太)さんの台本をいただいて読んだ時に『なるほど』って思えたんです」と話した。

さらに「演出の方から『五徳は優しい人間だったと思うんです』って話をいただいていて。最初はどこに優しさがあるんだろうって、ずっと探していたんです。だけど現場に入って皆さんとお芝居をさせていただく時に初めて、五徳の優しさが分かったんです」と述懐。「これが彼女なりの不器用な優しさの表現だったんだな、とかここに実は隠れた愛があったんだな、っていうのを共演者の皆さんのおかげで気付くことができました」と振り返った。

撮影の合間には主演の松本潤(39)からも激励され、他の共演者たちからも声をかけられたという。「本当にすごく貴重な経験をさせていただいている毎日です」と感謝した。

秋には劇団☆新感線のいのうえ歌舞伎「天號星」(9月に東京・シアターミラノ座で開幕、11月には大阪公演)への出演も決まっている。こちらも乃木坂46現役メンバーでは初めての劇団☆新感線作品に出演となる。16年9月に中3で芸能界入り。乃木坂46の3期生として約7年間努力を重ねた21歳の活躍は、いよいよ本格化しそうだ。【横山慧】