記者として、アンテナを常に張っておかないといけないと思う。個人的に好きで興味があるジャンルがあったとしても、あらゆるジャンルを平等に取材して報じる-。記者として当然の仕事かもしれないが、簡単なことではない。そのためには、とにかくいろいろな方面にアンテナを張り続ける必要がある。

6月3、4日に、東京・日比谷公園で「祝・日比谷野音100周年 日比谷音楽祭2023」が開催された。公園内に設置されたさまざまなステージで、さまざまなアーティストらがパフォーマンスを披露。老若男女問わず、誰もが楽しめる音楽イベントだった。

サプライズゲストのB’zのほか、Mr.Children桜井和寿や演歌歌手石川さゆり、シンガー・ソングライター秦基博やKREVAなど、オールジャンルから多数のアーティストが参加した。それらのアーティストに声をかけたのが、日比谷音楽祭実行委員長で音楽プロデューサーの亀田誠治氏(59)だった。

自身も東京事変のメンバーであり、ベーシストであり、音楽プロデューサーであり、これまでさまざまなアーティストと関わってきた。第一線で活躍する豪華面々の参加は、そういう意味ではうなずけたが、まだ世に浸透しきっていないアーティストらにはどのようにアプローチしたのかが気になっていたが、日比谷音楽祭でのMCで明かした。

19年のビートボックス国際大会で日本人初のTOP4入りしたヒューマンビートボクサーのSO-SOは、SNS上で発見したという。「YouTubeで見つけて面白いなと」とSO-SOのYouTubeチャンネルで存在を知り、その後、ツイッターをフォロー。ダイレクトメッセージで日比谷音楽祭出演のオファーをしたという。これにはSO-SOも「最初は偽者かと思いましたよ。でも(アカウント名に)公式マークがついていたので」と突然のオファーに驚きつつも、喜んで参加したという。

こちらも初出演となったシンガー・ソングライターさらさ(23)は、彼女が出演したラジオを視聴したのをきっかけにオファーしたという。「ラジオでシティポップが好きだったという風に言っていたのを聞きまして。面白いなと思って」。多忙を極める中でもラジオを聞き、面白いと思ったら即行動。行動力に脱帽するばかりだ

目の前の仕事に追われながらも、遊び心を忘れない姿勢に記者は感心しきりだった。同時に、自分ももっとそのような姿勢で臨まないといけないと反省する瞬間でもあった。アンテナを張り、面白がって仕事をする。記者の基本の1つを再確認した。【佐々木隆史】