1954年(昭29)に公開された第1作と同日の11月3日公開の、ゴジラ生誕70周年記念映画のタイトルが「ゴジラ-1.0」(ゴジラマイナスワン)に決まった。脚本・VFXも務めた山崎貴監督(59)が中心となってデザインした、新たなゴジラのビジュアルと併せて11日、解禁された。

初代の「ゴジラ」(本多猪四郎監督)は、54年3月1日に米国がビキニ環礁で行った水爆実験により被爆した、第五福竜丸事件に着想して作られた。同作を含めて、シリーズ各作品の時代設定は、戦後10年以降もしくは製作された年と同時代を舞台としてきたが、実写版ゴジラ30作目、そして令和の時代で最初の作品となる「ゴジラ-1.0」は、初めて終戦直後の日本が舞台となる。戦後、無になった日本へ追い打ちをかけるように現れたゴジラがこの国を負(マイナス)にたたき落とす、史上最も絶望的な状況でのゴジラ襲来を描く。

山崎監督は「何もかもを失った戦後の日本。そこに追い打ちをかけるような、かつてない絶望を与える存在を描く。そんな意味も込めて『ゴジラ-1.0』というタイトルは生まれました」と題名について説明。「そして、そのことを描くために『恐怖』そのものが歩いてくるかのように見えるゴジラの姿と、絶望に絶望を塗り重ねるような設定をスタッフともども作り上げてきました」と設定について語った。

今回、解禁された「ゴジラ-1.0」の特報映像には、ボロボロになった銀座・和光をはじめ、痛みきった東京都心を踏みつけ、牙をむきだしてほえるゴジラの姿が描かれる。山崎監督は、07年11月3日公開の監督作「ALWAYS 続・三丁目の夕日」の冒頭で、主人公が執筆する架空の物語として、東京に襲来して街を破壊し、口から放つ熱線で東京タワーを真っ二つにするゴジラをフルCGで描いた経験を持つが、それから16年を経て質感、迫力ともに大幅にグレードアップされた。

山崎監督は「僕が今まで作ってきた映画の集大成になっていると思います。そしてそれは劇場で『観る』のではなく、『体験』するにふさわしい作品になったと思います。ぜひ最恐のゴジラを最高の環境で体感していただきたいと思います」と観客に呼びかけた。

また、日本公開から約1カ月後の12月1日から、北米の映画館でも「GODZILLA MINUS ONE」の英題で公開することが決定した。