両親の自殺を手助けし死亡させたとして、自殺ほう助の罪で東京地検に起訴された歌舞伎俳優市川猿之助(本名喜熨斗孝彦)被告(47)が31日、拘留されていた東京・原宿署から保釈された。

東京地裁がこの日、保釈を認める決定をした。保釈金は500万円という。この日検察側は決定を不服として準抗告したが、地裁は棄却した。

猿之助被告は同日午後8時28分ごろ、同署通用口から出てきた。黒か濃紺のスーツを着て同色系のネクタイをし、報道陣の前に姿をみせた。髪の毛は普段よりも伸びた印象で、後頭部に毛量が多いオールバック気味。外見からはやつれた様子はあまりうかがえず、背筋を伸ばしてしっかりした足取りで歩き、神妙な面持ちで集まった報道陣側へ約7秒間一礼し、同署の建物に向かって軽く頭を下げた。言葉を発することなく静かに送迎車に乗り込んで署をあとにした。

猿之助被告を巡っては、5月18日発売の一部週刊誌が性加害やハラスメント疑惑を報じた。警視庁に対し「私に関する記事が掲載されることを両親に話したところ、3人で次の世界に行こうとなった」と供述。父で歌舞伎俳優市川段四郎さん(当時76)と母延子さん(同75)の自殺を手助けし、5月17日、東京都目黒区の自宅で向精神薬を服用させ、17~18日に死亡させたとしている。

捜査関係者は3人が一家心中しようとしたとみている。同被告に自殺の意思があったとみられ、専門家は執行猶予が付く可能性を指摘している。

猿之助被告は6月27日に母に対する自殺ほう助の疑いで逮捕。東京地検は処分保留とし、7月18日、父に対する容疑で再逮捕されていた。同28日、自殺ほう助の罪で東京地検に起訴された。