まだ見ていない世界がある。米サンフランシスコ在住のタレント野沢直子(60)が1日までに日刊スポーツの取材に応じ、米国での本格的な女優業挑戦への野望を語った。

還暦を前にした昨年10月には小説とエッセーの著書2冊を同時発売。節目を迎えても歩みは止めず、米国でも取り組むバンド活動やスタンダップコメディーとも並行し「東洋人の面白いおばあちゃんになりたい。ハリウッド目指します」と掲げた。【松尾幸之介】

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「全身赤計画」と称した鮮やかな“還暦の赤”に染まった髪の毛をなびかせながら、野沢が次なる目標を口にした。「米国で演技の仕事をしたいなと。年をとったらやろうと思っていて、本当に年とったので(笑い)。前から樹木希林さんみたいになりたいなと思っていました。ハリウッドも目指したいとひそかに思っているんです」。

還暦から本格的に挑む新しい世界。米国生活で感じた潮流の変化も根拠にある。「私が米国に行った時は東洋人の役者を見ることはほとんどなくて、ジャッキー・チェンがいたぐらい。でも、今は東洋人がすごくフィーチャーされていて。(22年アカデミー賞各賞を受賞した)ミシェル・ヨーやキー・ホイ・クァンが出た『エブリシング・エブリウェア・オール・アット・ワンス』とか『クレイジー・リッチ!』で東洋人がたくさん出てきて。私の読みでは、移民の東洋人の枠は今後もきっと出てくるだろうなと思っています。コメディアンの人気もすごいので、ここに乗っかれ!と思っています(笑い)」。

野沢も30年以上米国で生活しており、英語には問題がないという。現在は毎年恒例の夏の一時帰国中で、今回は入ってきた仕事もこなしながら演技のワークショップにも通っている。7月には東京・渋谷のコメディーバーにも出演し、英語でスタンダップコメディーも披露した。

「東洋人の面白いおばあちゃんとか、面白いっていうのを突いていこうというのが私のゴールです」と語り「むこうではスタンダップと演技の両方をやる人も珍しくない。バンドもできる限りやっていきますし、諦めなければ一生できる。『夢に向かって走れ』ですね。時間をかけてやっていこうかなと思います」と力を込めた。

米国でも演技のワークショップに通う予定で、オーディション情報なども探りながら本格的な挑戦が始まる。3月に還暦を迎え、11月には初孫も誕生予定だが情熱は尽きない。「孫が生まれるのはうれしいですけど、そこに依存しちゃわないように。もちろんかわいがったりするけど、そこを人生の核にせず、あくまで自分に頑張ろうという感じで。きっと両方できると思っています」。

日本人としての誇りも胸に、野沢の「還暦俳優計画」が堂々とスタートした。

○…野沢は昨年10月にエッセー「老いてきたけど、まぁ~いっか。」(ダイヤモンド社)と小説「半月の夜」(KADOKAWA)の2冊を発売。「老いて-」は増刷にもなるなど話題となった。10年以上ブログを続けるなど文章を書くことが好きで、著書は通算4冊に。今回はどちらも同世代へ向けた思いを込め「この年になって体力や感覚もズレてきたなと少し落ち込んでいたのですが、書くことで自分も元気になりました。たくさんの方に読んでもらえたら」。

○…野沢は渡辺直美(35)ゆりやんレトリィバァ(32)ピース綾部祐二(45)ら米国で活動する後輩について「今は腕のある人も多いし、すごくいいこと」と語り「結構多いなとも思っていて。気がついたら、たむけん(たむらけんじ)も? みたいな」と笑わせた。「日本で見られない景色を見られて人生として面白かった」と良さを語り、英国オーディション番組で話題となった、とにかく明るい安村(41)らについては「YouTubeで英語でネタをやっているのを見て結構いけるなと思ってました。ウエスPのネタとかも見ていますよ。私も頑張らなきゃ」と後輩の活躍に目を細めていた。

◆野沢直子(のざわ・なおこ) 1963年(昭38)3月29日生まれ、東京都出身。81年に高校同級生とのコンビでデビュー。83年から吉本興業所属。テレ朝系「トゥナイト」、フジ系「夢で逢えたら」などで人気に。91年に渡米し、93年にバンドで知り合った米国人男性ボブ・リンプと結婚。同10月に長女、96年に次女、01年に長男出産。バンド、ELECTRIC MACHINE GUN TITSの一員として米国各地で活動中で8月4日に都内でライブ、6日にイベント出演、7日にも札幌でライブ開催予定。米国永住権所得済み。演技経験は87年公開映画「二十四の瞳」、89年「帝都大戦」など。長女は格闘家の真珠・オークライヤー。身長158センチ、血液型B。

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