アリスのメンバーでシンガー・ソングライターの谷村新司(本名同じ)さんが10月8日、亡くなった。74歳だった。所属事務所が発表した。葬儀は近親者のみで15日に執り行ったという。

谷村さんは1971年、神戸の音楽サークルの後輩だった堀内孝雄と「アリス」を結成。72年3月5日に「走っておいで恋人よ」でデビュー。同年、矢沢透が加入した。

その後「冬の稲妻」「ジョニーの子守唄」「チャンピオン」「狂った果実」などヒット曲を連発した。75年の「今はもうだれも」がヒット。78年には日本人アーティストとして初の日本武道館3日間公演を成功させた。一方で、デビューからしばらくの間はヒット曲に恵まれずライブを中心とした活動で、74年には年間303回という驚異的なステージ数をこなした。アリスとしての活動は81年にいったん一度、休止しているが2000年のNHK紅白歌合戦で活動を再開。他、05、09年と計3回出場している。

74年にグループ活動と並行しソロ活同をスタート。80年発売の「昴-すばる-」を大ヒットさせた。他に山口百恵さんの「いい日旅立ち」や、やしきたかじんさんの「砂の十字架」など数々の名曲を生み出した。ソロでNHK紅白歌合戦には16回出場、91年には大トリも担当した。

92年に加山雄三と連名でシングル「サライ」を発売。日本テレビ系「24時間テレビ『愛は地球を救う』」のテーマソングとして現在まで歌い継がれている。毎年、出演していたが今年は療養中だったため、「長期の療養となってしまい、今年は国技館へ『サライ』を歌いに行くことができず、ごめんなさい」などとコメントしていた。

93年には、選抜高等学校野球大会の大会歌「今ありて」の作曲・歌唱を担当。同曲は2008年にシングルとして発売された。

歌手以外の活動幅も広く、12年からは東京音大の特別招聘教授に就任。タレントとしても1997年、フジテレビ系「ボキャブラ天国」のMCにタモリの後任としてヒロミと就任。他にも「コレって変ですか~!?」など司会なども務めた。また、ラジオパーソナリティーとしても文化放送で69年6月から81年9月まで深夜の帯番組「セイ! ヤング」の名物パーソナリティーとして人気を博した。15年には紫綬褒章を受章している。