女優伊藤沙莉(29)主演の24年前期のNHK連続テレビ小説「虎に翼」が4月1日から始まる。日本初の女性弁護士で後に裁判官となる三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんの半生を再構成して描き、主人公の猪爪寅子(ともこ)役を演じる。現在も続く撮影に取り組む中で感じた大役への気持ちを聞いた。
放送開始を前に、伊藤は「人生を語る上で絶対に抜かしてはいけない作品になります。役も私っぽく挑戦的な部分もある。いいものを作る、向かっている先がみんな一緒なのですごく楽しんでいます」と語った。司法に携わる配役を受け、参考書の読み込みや、明大で法律関連の授業を受けるなどして学んだ。「大学に行ったことがなかったので楽しかったです」と振り返り「『もっとこうなったらいいのにな』を実現するのが法律なのかな。歴史や、そこをたどってきた人がいるから今がある。平和に過ごせている感謝やありがたみをかみしめています」と話した。
完成した1週目を見て背中を押された部分もあった。「芝居が合っているのかと不安が突然出て戸惑っていたんですけど、1週目を見たときに(演じる)寅ちゃん像は意外と固まっていたのかもしれないと思って。それでもう1度やる気が出たといいますか、迷いが減りましたね」。
大の酒好き。それでも「撮影の準備に時間をかけたい」と少し控えめになったという。「朝が早いので、あんまり深酒できない。少し痩せたのかな。規則正しい生活になったからかな。確かに体が調子いいですね。きっと今までが変だったんですよ」と笑った。
兄はお笑いコンビ、オズワルドの伊藤俊介(34)。役者仕事もこなす兄との共演可能性を聞かれると「前に撮影で『アドリブでボケみたいなことを何度も言うのが恥ずかしい』と相談された時があって。なので、ぜひアドリブで戦っていただきたい(笑い)。生意気にお芝居のお仕事をしているときいているので、あまり重要人物にはせず、後ろを通り過ぎていく役を。そこに関しては先輩面しようと思います」と笑わせた。【松尾幸之介】
◆伊藤沙莉(いとう・さいり)1994年(平6)5月4日生まれ、千葉県出身。9歳だった03年に日テレドラマ「14ケ月~妻が子供に還っていく~」で子役デビュー。13年フジ「リーガル・ハイ」、15年フジ「トランジットガールズ」、18年TBS「この世界の片隅に」、23年テレ朝「シッコウ!!~犬と私と執行官~」など多数出演。朝ドラは17年「ひよっこ」出演以来。映画は20年「タイトル、拒絶」、22年「ちょっと思い出しただけ」、23年「ミステリと言う勿れ」など。
◆「虎に翼」 NHK連続テレビ小説110作目で、日本初の女性弁護士で後に裁判官となる三淵嘉子(みぶち・よしこ)さんの半生を再構成して描くフィクション作。昭和初期から戦時下を経て奮闘する主人公の姿を、吉田恵里香氏の脚本で届ける。「虎に翼」は中国の法家「韓非子」の言葉で「強いものの上にさらに強さが加わる」という意味。