7月7日付で宝塚歌劇団を退団する月組トップ月城かなと、同トップ娘役海乃美月のサヨナラ公演「ミュージカル・ロマン『Eternal Voice 消え残る想い』」「レビュー・アニバーサリー『Grande TAKARAZUKA 110!』」が30日、兵庫・宝塚大劇場で開幕した。

芝居の舞台は、ヴィクトリア女王統治下のイギリス。月城は独特の勘を持つ考古学者ユリウスにふんし、亡き母から特殊能力を受け継いだ女性アデーラを海乃が演じる。

特殊能力を受け入れて自由に生きるユリウスと、自身の能力を恐れるアデーラ。作・演出の正塚晴彦氏が月城、海乃にそれぞれあて書いたオリジナル作で、2人は存分に個性を発揮。スコットランド女王メアリー・スチュアートの遺品とされる首飾りをきっかけに、事件へ巻き込まれていく。

次期トップに決まった鳳月杏は、超常現象を研究するユリウスの友人役で、女王陛下のために動く特定秘密局局員ダシエルは風間柚乃。芝居巧者ぞろいの月組らしい舞台運びを見せる。

芝居のエンディングでは舞台に月城、海乃が残り、幕がじょじょに下りる中、舞台奥から客席へとゆっくり歩を進める演出もあり、2人が卒業、新たな旅立ちへ向かうイメージを描き出した。

レビューは宝塚110周年記念作で、中村一徳氏の作・演出。「歴史と伝統」を受け継ぎ、「新しい時代、歴史への始まり」を祝う。伝統的レビューへのオマージュから、「月」をイメージした未来へのメッセージも込められ、ここでも月城、海乃の豊かな表現力が生きている。

初日前日の29日夜には、通し舞台稽古で最終確認。月城は「千秋楽まで、みんな健康で、最後まで駆け抜けられるよう頑張りたいと思います」とあいさつし、幕開けへ備えた。

また、今公演は、3月1日に入団した110期生の初舞台作。同期“最初で最後”の舞台共演になるラインダンスは、「110」の人文字を作ってスタートした。

初日を無事に終え、月城は「今回の月組は、お芝居・ショーともにオリジナルの2本立てでございます」と紹介。月組メンバーに、初舞台生も加わって作る今柵に「総勢115名で、皆さまに愛していただける作品になるように、千秋楽まで精いっぱい頑張って参りたいと思います。どうか皆さま、千秋楽まで、この初舞台生を含めた月組生、どうぞ見守っていてください」とあいさつした。

宝塚大劇場は5月12日まで、東京宝塚劇場は6月1日から7月7日。月城らは東京千秋楽をもって退団する。