中村勘九郎、中村七之助らが出演する「歌舞伎町大歌舞伎」(5月3~26日、シアターミラノ座)に向けてこのほど、新宿歌舞伎町でお練りが行われた。

歌舞伎町で歌舞伎のお練りが行われるのは初めてだそうで、イベントは大いに盛り上がった。勘九郎、七之助、中村虎之介、中村勘太郎、中村長三郎、中村鶴松の出演者は人力車に乗って、関係者、木やり、芸者とともに約600メートルを練り歩いた。

ゴール地点のシネシティ広場での虎之介のあいさつが印象的だった。「これ本当の話なんですけど」と前置きし、「さっき、ギャルっぽい方が(公演の)チラシ見て『うわ、やべ、マジ分かりやすそう』って言ってたんです。いろんなお客さまにも身近に感じていただけるんじゃないかな、と思います」と、新作、古典、舞踊を取りそろえた公演の魅力をPRした。

知らない人に知ってもらえて、それだけでもよかったなと思った。それと、虎之介の「やべ、マジ分かりやすそう」の再現が自然で、26歳の若さを感じた。

勘九郎は「全国いろんなところでお練りをしていますが、東京生まれなので、東京でお練りって、こっ恥ずかしかったんですが、なかなかできない経験をさせていただきました。人力車でアルタ前を通って、靖国通りを横断なんて、一生に1度の体験です」と、うれしそうだった。

また沿道から「中村屋!」の声がかけられ、「待ってたよ」「見に行くよ」などと言われたとし「楽しくお練りをすることができました。今度は私たちが舞台から皆さま方にパワーをお返しする番です。ご期待ください」と自信を見せていた。

七之助の思い出話もおもしろかった。学生時代によく新宿で遊んでいたそうで「そこのボウリング場は人生最高スコアを出したんです。ちなみにデートでした」と明かした。しかし、スコアに集中しすぎて「2度とその女性とはデートできませんでした」と笑わせた。

お祭り感、新宿歌舞伎町という場所がいつもより皆を少し饒舌(じょうぜつ)にさせたような楽しい雰囲気だった。

「歌舞伎町大歌舞伎」は、荒事の豪快さがある舞踊「正札附根元草摺(しょうふだつきこんげんくさずり)」、勘九郎、勘太郎、長三郎の親子3人による舞踊「流星」、落語「貧乏神」を元にした新作「福叶神恋噺(ふくかなうかみのこいばな)」と、どれも見たいと思う演目がそろった。

歌舞伎町での歌舞伎がどんなものになるかは、開いてみてのお楽しみだが、期待感は大きい。