歌舞伎俳優片岡亀蔵(かたおか・かめぞう)さん(本名片岡二郎=かたおか・じろう)が24日、東京都足立区で発生した火災により死亡した。64歳。

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亀蔵さんの声や表情、舞台にいる様子はすぐに頭の中で再現できる、それくらい存在感のある俳優だった。憎らしい役の時は心の底から憎く感じ、こっけい味のある役の時は思わずくすっと笑ってしまうように、観客を物語に引き込んだ。舞台で1度見たら忘れない俳優が亀蔵さんだった。

舞台以外では、スポーツ全般に造詣が深かった。特にラグビーが大好きだった。青学初等部時代、少年ラグビーチームの入部テストに合格したが、襲名を控えていたこともあり本格的にできなかった。以来、観戦が大好きになったそうだ。

19年のW杯で日本代表が快進撃を続けていた時、亀蔵さんは、大きな敵に立ち向かう日本代表を、当時出演していた演目「御摂勧進帳(ごひいきかんじんちょう)」に例えて話してくれた。義経と弁慶一行が越えねばならない安宅(あたか)の関を相手チームの強力ディフェンスに例え、チームワークで乗り越えられるとエールを送った。「ラグビーも歌舞伎も、体1つで勝負、舞台に出ていくところも似ている」と話していた。衣装での取材だったので、役のイメージを損なわないよう撮影で笑顔はできなかったが、語る言葉はまじめで優しかった。【小林千穂】