大阪市のエルセラーンホールで11日、「令和八年 関西演芸協会まつり」が行われた。

大阪文化の担い手である約250人の上方演芸家で構成する関西演芸協会が行う同公演には曲芸、手品、落語、漫談、音頭、歌謡、漫才など総勢85人が出演。漫画トリオで一世を風靡(ふうび)した青芝フック(87)、コミックマジックの第一人者・ゼンジー北京(86)、上方落語の最古参、桂福團治(85)、漫才コンビ若井ぼん・はやとの若井ぼん(81)らも元気な姿を見せ、円熟の芸を披露した。

ぼんは「これだけ芸歴の古い高齢者の4人が並ぶのは、今日で終わりでございます」と笑わせながら、「また、来年も皆さん元気でお会いしたいと思います」とニヤリ。「本当はギネス申請したかった。でも、協会にお金がないので検討中。ギネスという世界の記録に名前を載せたい」とぶち上げた。

同協会の会長を務める福團治は「やぶ入り」を披露。「みなさまのおかげで関西、上方演芸文化が華やかに保っている」とファンに感謝し、大阪締めでしめくくると、30年以上務めてきた会長職を退く考えを示した。後任は副会長として、協会を支えてきた漫才コンビ、シンデレラエキスプレス渡辺裕薫が就任する方向で話が進んでいるという。

同協会は戦後の1949年(昭24)に設立された。今では関西のお笑い=吉本興業というイメージが強いが、当時、分裂の危機にあった上方落語界を大阪・ミナミの料亭の主人中田昌義さんが中心となり、漫才など他の演芸も巻き込んで結束した。

芸能史研究家の前田憲司氏が所有する関西演芸協会機関誌「えんげい」の創刊号によると、会員名簿には5代目笑福亭松鶴、2代目桂春団治、2代目立花家花橘、4代目桂米團治、4代目桂文枝らの名前が並び、末尾に笑福亭光鶴(後の6代目笑福亭松鶴)、桂あやめ(後の5代目桂文枝)、桂小春(後の3代目桂春団治)、桂米朝といった後の上方四天王の名前も見られる。

講談には2代目旭堂南陵、旭堂小南陵(後の3代目旭堂南陵)。漫才には林田十郎・芦乃家雁玉、浅田家寿郎・浮世亭歌楽、都家文雄・静代といった名前も。他に奇術、曲芸、曲独楽の芸人の名前もあり、今に至る歴史が感じられる。なお、初代会長は南陵、副会長は松鶴が務め、中田氏が顧問を務めた。

関西演芸協会祭りの開催の他にも堀川戎神社での活動や、成田山不動尊(成田山大阪別院明王院)境内の笑魂塚の碑の縁から節分祭で年男を務めるなど、上方演芸の継承に努めてきた。

長年、会長を務めてきた福團治の「先達者がいて、ここまでこられた。先達者たちに喜んでいただけるように、次の世代にどういうふうに伝えていくかが我々の使命。お客さまがそれを声援してくれる空気が伝わってきて生きがいを感じております」との言葉は重い。この思いをどう継いでいくのか注目だ。【阪口孝志】