欧州などで活躍する指揮者の佐渡裕さん(50)が20日、世界有数の名門オーケストラとして知られるベルリン・フィルハーモニー管弦楽団の定期公演で初めて指揮し、会場を埋めた2000人以上の聴衆を魅了した。

 ベルリン・フィルを指揮したのは、これまで同楽団の音楽監督を務めたカラヤンら著名音楽家ばかり。近年で日本人としては恩師の小沢征爾さん(75)以来。

 京都市生まれの佐渡さんは、小学校の卒業文集で「大人になったら、ベルリン・フィルの指揮者になる」と書いた。

 「私は約40年前の夢を実現できた。被災地の方々には夢を持ち続けてほしいというメッセージを送りたかった」と語った。演奏はCDとDVD化し発売を予定、印税分を東日本大震災の義援金に充てるという。

 佐渡さんは、阪神大震災からの文化復興のため建設された兵庫県立芸術文化センターの芸術監督も兼務する。

 公演で指揮した曲は、武満徹の現代音楽「フロム・ミー・フローズ・ホワット・ユー・コール・タイム」と、ショスタコービッチの交響曲第5番。終了後、熱演に聴衆から大きな拍手が鳴りやまず「ブラボー」の声が飛んだ。

 公演は22日までの3日間。最終日の22日夜(日本時間23日未明)は有料インターネット動画サービス「デジタル・コンサートホール」で生中継される。(共同)