伝説の覆面バンド、ザ・タイマーズが2日、一夜限りの復活を果たした。都内のSHIBUYA-AXで、ロックアーティスト三宅伸治(53)が、09年5月に亡くなった忌野清志郎さん(享年58)の誕生日に当たるこの日、特別ライブ「感謝の日」を開催した。

 第2部の冒頭に登場してきたのは、88年から90年代にかけて、反原発ソングなど数々の反体制の曲と過激なパフォーマンスを引っさげて、ゲリラ的な活動をしていたザ・タイマーズの面々。05年の清志郎さんデビュー35周年ライブにゲスト出演した以来、実に9年ぶりの“出没”だ。

 清志郎さんの分身と言われたボーカルのゼリーは不在だったが、三宅が扮(ふん)するギタリストのトッピと、ベースのボビーが、新メンバー4人を引き連れて現れた。全員、ヘルメットとサングラス、さらには鼻から下を手ぬぐいで覆っているために、正体が分かりづらいが、歌い出すとすぐに判明した。まずは「反排卵日」と書いたヘルメットの男性は、斉藤和義(47)。「ゼリーがいなくなって原発が爆発しちまった。今でも替え歌はお蔵入りだぜ」と、自身の3年前の反原発ソング騒動を想起させる歌で、観客を盛り上げた。続いて「安全日」と書いたヘルメットは、山崎まさよし(42)。「誕生日」と書かれたヘルメットは、宮藤官九郎(43)。紅一点の女性は金子マリ(59)だった。

 まずは、「タイマーズのテーマ」で自己紹介をして、次に「アベノミクスだの、東京五輪だの、全然暮らしは変わねぇ」などと歌った1曲、そして同バンドのヒット曲「デイ・ドリーム・ビリーバー」。ラストは、89年の消費税導入時に制作された「税」を、再び8%に税率が上げられたこのタイミングで披露した。わずか4曲だったが、昔と変わらない、社会を皮肉るシニカルなスタイルで、インパクトを残して、去っていった。今後の“出没”については、全くの不明。まさに一夜の夢だった。