<2006年12月7日、日刊スポーツ紙面から>

 女優石原真理子(42)が6日、過去に交際した芸能人13人を実名で記した自伝「ふぞろいな秘密」(双葉社)の出版会見を都内で行った。出版の経緯を、13人の男性に対する感謝の気持ちを、恋愛小説としてまとめたと説明。大胆な告白を区切りに、女優業の再開を希望しているが、芸能界内部では「怖くて使えない」の声も上がっている。

 すべてを書き込み、すっきりしたのか、石原は堂々としていた。表情は変えない。約100人が集まった会見を、「過去、交際した13人の男性の名前をほぼそのまま書いています。誇りに思っている恋、うそをつきたくない意味もありました」と切り出した。さらに、「女優として成長させてくれた人にお礼を申し上げたい」と、交際した男性たちに感謝した。

 多くの男性が登場する同書だが、19歳で経験した歌手玉置浩二(48)との交際に多くが割かれている。不倫と心中騒動、暴力が原因による別れの詳細が明かされている。会見で個人名に触れなかったが、「うらみや復讐(ふくしゅう)ではありません。当時は、本当に愛していました。事件が無ければ結婚までいった相手」と紹介。いじめやセクハラなど、苦しむ人へのメッセージを目的とし、実名は避けて通れなかったと語った。

 報道陣からは「男性の立場を考慮しなかったのか」「了解をとっているのか」など、厳しい質問が続いた。それでも無表情の石原は「自分の人生を書いただけ。恋愛小説のような形」「半分以上のかたに連絡し、楽しみだと言って、本当のことは何を書いてもいいと言ってくれる人もいます」。また、玉置を示唆しながら「事務所を通しています。何も言ってこないので、彼の誠意かと思う」など、独自の解釈を展開した。会見場から退出する際、「男性から訴えられたら?」の質問を浴びると初めて表情をゆがめた。

 これを一区切りにして女優業の再開を希望。講演や映画の依頼があることを明かした。今もいい恋愛をしているという。しかし、交際相手の名は明かさなかった。<主な一問一答>

 --実名は相手の立場もあるが

 石原

 考えましたので、最小限にとどめました。

 --相手には連絡したのか

 石原

 半分以上に連絡を入れています。

 --連絡を取れない人もいるようだが

 石原

 さわやかに、いい思い出として書いているので。

 --タブーとする声には

 石原

 これは私の人生ですので。その人たちとの本当にいい思い出。

 --書いてほしくない人もいたと思うが

 石原

 楽しみと言ってくれたり、本当のこと、何書いてもいいという人がほとんど。

 --本の内容で大部分を占めている恋について、相手に連絡したのか

 石原

 事務所に通しました。何も言ってこないのが彼の誠意かな。

 --暴露という意識は

 石原

 全くないです。私の人生を書いただけ。

 --自分にマイナスになるのでは

 石原

 なりません。読めば分かります。私の大切な物語。恋愛小説のような形になっていますので。

 --相手に納得してもらえる内容と思っているのか

 石原

 はい。そういうふう思います。○…石原の会見にはテレビカメラ15台に約100人の報道陣が駆け付けた。会見ではプライバシー保護のため、著書に登場する実名の発言を避けるよう石原サイドとテレビ各局で事前に打ち合わせしていた。テレビ朝日は会場から生中継したが、TBSは万が一に備えて、1分遅れで中継。失言があった場合は、その場で修整やカットして放送する異例の態勢を敷いていた。

 芸能活動を本格的に再開したい石原だが、同書の出版が女優人生の首を絞めた。実名やイニシャルなどで同書に記された13人は、十数年前の出来事として一様に無視を決め込んでいる。具体的に反応を見せたのも、交際当時から話題になっていた玉置の事務所だけ。現在レコーディングに集中する玉置に代わり、担当者が文書で「安易なコメントを玉置の了解なく出すことは差し控えたい」と、静観することを示した。

 石原は「何も言ってこないのが彼の誠意」と解釈するが、沈黙する各所属事務所の怒りは相当なものだ。男性側から名誉棄損で訴えることも可能だが、ある俳優の担当者は「訴えたいけど、それが話題になって本が売れてしまう。無視するのが一番かも」と複雑な状況を明かした。かつての共演者の事務所は「なぜ今ごろ」と、静観しているのは表向きだけだった。

 別の俳優の事務所広報担当は石原の今後の活動に言及した。「ドラマにしてもバラエティーにしても、何を言い出すか分からない彼女と共演を望む人はいない。テレビ局なども怖くて使えない」と指摘。該当者の事務所は大手も多く、石原を起用する番組や局は芸能界全体から反発を受けるのが必至の状況だ。

 石原は13人のうち、半数に出版の連絡を入れたと説明した。日刊スポーツは13人のうち11人の担当者に取材したが、連絡を受けた所属事務所はなかった。一気に注目は集めたが、信頼も一気に失った。

 [2009年2月25日14時13分

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