広島市で7月31日開かれた日本母親大会で、原爆詩を朗読した女優の吉永小百合(66)が「地震の多い日本では原子力発電所をなくしてほしい」と語った。

 冒頭で吉永は「原子力の平和利用という言葉がよく使われていて、私自身あいまいに受け止めていた」とこれまでを振り返り、「高速増殖原型炉もんじゅは恐ろしいと聞いてはいたが、普通の原子力をもっと知っておくべきだった」と厳しい表情で話した。

 「東北からの出席者に祈りを込めて詩を朗読します」と語り掛け、「にんげんをかえせ」で知られる峠三吉さんの「原爆詩集」の序詩や栗原貞子さんの「生ましめんかな」など6編を朗読。広島市の小学生ら約80人とともに平和への願いを込めた「折り鶴」を合唱した。

 原爆詩の朗読は、吉永がライフワークとして1986年から続けている。今回は、30日から広島市で開かれていた日本母親大会の特別企画として招かれ朗読した。

 福島の原発事故を受け、長女(5)と初参加した神奈川県茅ケ崎市の主婦広瀬純子さん(35)は「吉永さんの透き通るような声が心に染みた。事故前は原発は安心で必要と考えていたが、今は被爆国日本で核エネルギーが利用されることに反対だ」と話した。

 ◆日本母親大会

 女性のための社会運動の一環として1955年(昭30)に東京で第1回大会が開催。年に1度の開催で今年は57回目。54年にビキニ環礁でアメリカの水爆実験が行われた。女性運動家平塚らいてうら「原水爆禁止」の訴えが契機となり同大会が誕生した。