覚せい剤取締法違反(所持、使用)などの罪に問われた歌手ASKA(本名・宮崎重明)被告(56)の知人女性で、同違反(使用)で起訴された栩内(とちない)香澄美被告(37)の第2回公判が今日9日、東京地裁で開かれる。同被告は初公判で無罪を主張。強気な姿勢の裏には数々の大事件を担当した“大物ヤメ検”黒田修一弁護士らのバックアップがあり、今後の展開にも注目が集まる。

 栩内被告の弁護団は3人で、その1人が黒田氏だ。大阪弁護士会に所属し、元検事のいわゆる“ヤメ検”。92年に弁護士登録。ハンナン牛肉偽装事件(04年)JR福知山線脱線事故(05年)などで被告側弁護を担当し、大阪地検特捜部などで検事を務め、大物として知られる敏腕弁護士だ。

 法曹関係者は「普通のOLが知り合う可能性は少ない。何かコネがあるか、バックアップする人か、法人などがあるのではないか」。元検事の田中喜代重弁護士は「大阪から呼ぶとなると依頼人も費用がかかり、弁護士も移動を必ずしなければならず、それに見合うものがないとなかなか厳しい」と話すほど、異例の態勢にもみえる。

 栩内被告は初公判で「覚せい剤を使用したことはありません。鑑定のミスによるものか、第三者が何らかの方法で私の体内に入れたもので、私に使用の故意はありません」と無罪を主張した。黒田氏ら弁護側も、2度目の毛髪鑑定で覚せい剤成分が検出されなかったことを挙げ「宮崎(ASKA被告)が多量の汗をかく人物でその汗がうつり、毛髪の洗浄が出来ない上での毛髪鑑定だったのではないか。(尿検査も)体液が混入した可能性がある」と、ASKA被告と避妊せずに性交渉に及んだことなどを生々しく明かした。

 第2回公判では、毛髪鑑定の鑑定人への証人尋問が行われるとみられる。東京地検特捜部元副部長・若狭勝弁護士は「通常の鑑定と同じだったなど、どのように鑑定を行ったのかを証言するはず」。弁護側は鑑定ミスか、第三者が体内に入れたと主張したが若狭氏は「ASKA被告が、栩内被告の知らない間に陰茎に塗って性交渉したという展開に持っていこうとする雰囲気がある」と指摘。

 「性交渉で(覚せい剤が)尿に混じることは通常考えられず、一般的に尿から検出された場合は体内に入れたことを表している」とされるが、ASKA被告の初公判では、栩内被告の飲み物や食べ物などに薬物を混ぜることはなかったと証言している。若狭氏は「(栩内被告の)無罪の可能性は2割弱」と推測した。

 ◆初公判VTR

 栩内被告の初公判は7月22日、ASKA被告の初公判は先月28日に、ともに東京地裁で行われた。栩内被告はASKA被告との約10年におよぶ事実上の愛人関係は認めた上で、覚せい剤について、鑑定のミスか第三者が体内に故意に入れたと無罪を主張。最初の毛髪鑑定が陽性だったことについて弁護側は「宮崎(ASKA被告)が多量の汗をかく人物で、その汗が移ったのでは」などと説明。ASKA被告に対して薬物使用の疑いを持ち、使用の場合は交際をやめるといった内容のメールなどを送ったことを明かした。ASKA被告は初公判で、栩内被告の薬物使用を一貫して否定。栩内被告との、関係継続の意思もにおわせた。