今年で28回目の「マカオ芸術祭」が4月28日からスタートするマカオ。5月は、春節や中秋節に並ぶ伝統的な祝日の「端午節」もあり、ますますお祭りムードが高まっています。この時期、マカオ市民の話題の中心といえば、南湾湖で開催される「マカオ国際ドラゴンボートレース」。地元企業や学校のチームが参加することから、応援合戦で街は大盛り上がり。国外からも多くのチームが参加し、毎年、湖上では熱い戦いが繰り広げられています。そんな楽しみが充実した5月のマカオをご紹介しましょう。【取材・構成 芹沢和美】

「端午の節句」のルーツちまき投げ込み詩人を捜索

 5月5日は端午の節句。その起源は中国の「端午節」にあり、マカオでも旧暦の5月5日に端午節を祝う。今年の端午節は5月30日。楽しみはなんといっても、「マカオ国際ドラゴンボートレース」だ。ドラゴンボートは、船首に竜をかたどった細長いボートのこと。これに10~20人のこぎ手と先頭でリズムをとる太鼓手、最後尾でかじ取りをする舵手(だしゅ)が乗り込み、スピードを競う。

 この日に欠かせないものが、もち米の中にたけのこや肉を入れ、ササの葉で包み蒸した「ちまき」だ。端午節には、家族総出で作って食べる習慣がある。なぜ、端午節にちまきを作り、ドラゴンボートレースが行われるのか。それは、中国のこんな伝説に由来する。―紀元前278年の5月5日、詩人の屈原が政敵に国を追われ、湖南省の湖で抗議の入水自殺をした。近隣の漁民たちは、屈原が魚に食べられないよう、魚の餌となるちまきを湖に投げ込み、太鼓を打ち鳴らして屈原を探し回った―。以来、端午節にはちまきを食べ、屈原の霊をまつる小舟のレースが行われるようになったという。

 今年の開催日は、5月27日、28日、30日の3日間。地元の企業や公務員、学校のサークルを代表するチームが参加するため、盛り上がりはかなりのもの。当日は友人や同僚を応援しようと人々が会場の南湾湖につめかける。鳴り物で応援する人、おそろいのTシャツで声援を送る人たちなど、会場は熱気ムンムンだ。

木製の竜を手に酒を吹き上げる珍文化「酔龍祭」

酔龍祭では男たちが酒を勢いよく吹き上げるのが見もの
酔龍祭では男たちが酒を勢いよく吹き上げるのが見もの

 5月のマカオには、もうひとつ、竜が登場する伝統行事がある。旧暦の4月8日(今年は5月3日)に行われる「酔龍祭」だ。疫病から人々を救った竜の伝説にさかのぼるこの行事は、男たちが木製の竜の頭と尾を持って踊りながら街中を練り歩くというユニークなもの。立ち寄るレストランや商店では、これでもかというほど酒を振る舞われ、男たちはそれを互いに飲ませ合い口から噴き上げる。その様子はなかなか滑稽で観衆の笑いを誘う。なんとも独特なこのお祭りは、中国が発祥だが、現在はマカオでしか観ることができない貴重な文化となっている。