10月末「ユネスコ創造都市ネットワーク」で食文化部門の認定都市とされ、旅先として世界の注目を集めているマカオ。12月はクリスマスシーズンを迎え、いつもとちょっと違った顔を見せています。この時期のシンボルといえば、セナド広場を彩る大きなクリスマスツリー。街全体もイルミネーションで彩られ、ますます華やかさを増しています。一方、厳かな雰囲気で聖なる夜を迎える教会が点在しているのも、マカオらしい風景。温かで過ごしやすい年末年始のマカオは、見どころが尽きません。【取材・構成 芹沢和美】

食は26都市…東西の味覚融合のユニークさから選出

かつての宗主国、ポルトガルの代表的な料理

 今、マカオで最も話題になっていることといえば、「食」。10月31日、ユネスコの「創造都市ネットワーク」において、マカオが食文化(ガストロノミー)の認定都市に登録されたのだ。「創造都市ネットワーク」は、食文化のほか、文学や映画、音楽、工芸、デザイン、メディアアートの計7分野において、特色ある都市を認定するプロジェクト。食文化の分野では世界で26都市が認定されている。日本でも、14年に山形県鶴岡市が登録された。マカオは、成都(四川省)、順徳区(広東省)に続き、中国で3番目の登録都市となる。

 世界中の街の中からマカオが選ばれた理由は、いうまでもなく、そのユニークな背景にある。かつての宗主国であったポルトガルや、地元である中国広東地方の食だけに限らず、この街では400年以上にわたって東西の味覚が出会い、融合してきた。

ミシュラン三つ星から庶民店までバラエティー豊か

本格的な広東料理も楽しめる

 そんな特徴あるマカオの食は、15〜16世紀の大航海時代抜きにしては語れない。ポルトガルの船は、アフリカ、インドのゴア、マラッカ王国(マレーシア)など寄港地の香辛料や料理法を、航海の終着地であるマカオに持ちこんだ。そして、伝統的な広東料理と融合して生まれたのが、マカオ料理だ。おなじみのアフリカンチキンもそのひとつ。ポルトガル人の血をひくマカエンセたちに伝わる料理も、ほかの国にはない唯一無二の文化だ。

 バラエティーの豊かさも、マカオの食の魅力。ミシュラン三つ星を誇るダイニングもあれば、小吃(シャオチー=軽食)や点心、麺類などカジュアルな料理店もあり、なかには100年近い歴史を誇る名店もある。旅行者が選べるマカオの食は、庶民に親しまれるローカルのグルメからファイン・ダイニングまでと幅広い。

 おりしも、「ミシュランガイド 香港マカオ 2018」も11月30日に発売され、食の話題で盛り上がるこのごろ。年末年始にマカオを旅するなら、ぜひ食のプランをしっかりと立てておきたい。そして、おなかを空かせて行きたいものだ。