梅雨真っ盛りとなり、レジャーはしばらくおあずけとなる6月。ここマカオも、一年の中では比較的雨が多い季節を迎えていますが、今しか味わえない楽しみがあります。それは、街を彩る美しいハスの花。この時期、マカオは公園や広場、主な通りなどいたるところでハスの花が咲き乱れています。また、中国料理店にはハスをテーマにした特別メニューも登場し、食もいっそう楽しみに。みずみずしく華やかな香りに包まれる6月のマカオを散策してみませんか?【取材・構成 芹沢和美】

「マカオ・ロータス・フラワー・フェスティバル」

 「お釈迦(しゃか)様が座るハスの花と地形がよく似たマカオは、いつも神秘的な力に守られている」。そんな言い伝えが、マカオにはある。17世紀にオランダ艦隊の攻撃を奇跡的に撃退できたのも、03年に香港や中国・広東省で広まった感染病がマカオだけにはおよばなかったのも、お釈迦様に守られていたからなのだという。現在は埋め立てによりマカオの面積はかつての2倍以上になり、元の形はとどめていない。だが、ハスの花はマカオ特別行政区の旗にもデザインされ、街のいたるところで見ることができる。

 ハスの花を1年で最も美しく見られるのが、6月。この時期は毎年、「マカオ・ロータス・フラワー・フェスティバル」が開かれ、街は甘く華やかな香りに包まれる。17回目を数える今年の開催は6月10日(土)~18日(日)。期間中は、特定のハスの品種を各地で鑑賞することができる。

池一面に咲き誇る名所「ロウリムイオック庭園」

ハスとのコントラストが美しいタイパ・ハウス
ハスとのコントラストが美しいタイパ・ハウス

 一番の見どころが、半島部にある「ロウリムイオック庭園」だ。ここはかつて豪商一族の私邸だった場所。奇岩や曲がり橋などを配した蘇州式の回遊庭園は無料で一般公開され、市民の憩いの場となっている。ハスの花が咲く池に映し出されるのは、南国の樹木と周辺にそびえる高層マンション群。都会のオアシスともいえるここは、早朝の散歩も気持ちがいい。

 建物とハスが美しいコントラストを見せるのは、タイパにある昔のマカオの住宅を再現した「タイパ・ハウス」の周辺だ。ペパーミントグリーンのかわいらしい建物の前にある池にはみごとにハスの花が咲き、その光景はまるで絵はがきのよう。ウエディングドレス姿で記念アルバムを撮影しているカップルに出会うこともある。

 ところで、旅するときは晴天を願ってしまうものだが、マカオは雨の日だって美しい。雨にぬれてキラキラと輝く石畳や、露が揺れるハスの葉はしっとりとして優しく、思わずカメラを向けたくなる。もちろん、マカオは博物館やギャラリーなど屋内施設も充実している。旅行がたとえ雨だったとしても、ぜひ、街中に繰り出してみることをおすすめしたい。