マカオの年間行事のなかで最も有名なものといえば、11月に行われるマカオ・グランプリ。中心部の公道を使って行われる市街地レースで、今年で64回目の歴史を誇るイベントです。当初はアマチュア愛好家たちの草レース的存在だったものが本格化したのは、70年代のこと。現在は、世界でも有数の難関コースとして知られ、2005年からは世界ツーリングカー選手権の最終戦ともなっています。今年の開催は11月16日(木)~19日(日)の4日間。小さな街は、エンジン音と歓声に包まれます。【取材・構成 芹沢和美】

音速の貴公子セナも走った伝統の「F3頂上決戦」

爆音をあげてマカオ市街を疾走するフォーミュラーカー

 「マカオ・グランプリ」。モーターファンならずとも、その名前を聞いたことはあるだろう。マカオ半島南部の市街地の公道で繰り広げられるこのレースは、「F3の頂上決戦」として知られる一大イベントだ。

 このレースが誕生したのは、マカオがポルトガルの統治下にあった1954年。モータースポーツ愛好家たちが政府に許可を取り、公道を閉鎖して行う4時間のレースとしてスタートした。今でこそ世界に名をはせるレースだが、当初は、自慢の愛車を見せ合う社交場のようなものだったという。フォーミュラカーとツーリングカーが同じコースを混走していたというのも、驚くべきエピソードだ。

 1960年代に入ると規模が拡大され、しだいに世界の注目を集めるように。日本人ドライバーも活躍し、1974年と翌年には、舘信秀選手が2連覇を遂げ、「マカオの虎」という異名をとったという逸話も残る。そして1983年、国際規格であるF3へ昇格すると、ローカルな大会から一躍有名に。この記念すべき年に優勝を飾ったドライバーは、音速の貴公子こと、アイルトン・セナ選手だった。

 現在はF3世界一決定戦として知られるこのレース。観戦の醍醐味(だいごみ)はなんといっても、その迫力だ。道幅が7メートルしかないところもあり、クラッシュすると危険な場所も多い。この道を走り抜けるのは、まさに命がけ。あの狭く曲がりくねった公道でタイムを競い合うことがいかに困難か、マカオを旅したことがある人なら想像がつくだろう。

食いしん坊万歳!?世界の屋台100店以上が集合!

世界各国の屋台が100店以上「マカオ・フード・フェスティバル」

 そんなレースを一目見ようと、毎年、世界各国から旅行者が訪れているが、この時期はもうひとつの楽しみがある。マカオをはじめ世界各国の料理を出す屋台が100店以上出店する食の祭典、「マカオ・フード・フェスティバル」だ。17回目となる今年は、11月10日(金)~26日(木)に開催予定。月曜~木曜は午後5時~11時、金曜~日曜は午後3時~午前0時までとオープン時間も長く、会場となる西湾湖広場は深夜まで家族連れでにぎわう。

 毎年さまざまな国の食や文化が紹介される特別コーナーの今年のテーマ国は「日本」。日本食屋台の他、パフォーマンスなども披露される予定だ。比較的雨も少なく、過ごしやすいこの時期。モーターファンだけでなく、食いしん坊にとっても、マカオは楽しみがいっぱいなのだ。