秋、マカオは毎年恒例の国際的なイベントでにぎわいます。9月下旬にスタートするのは、「第31回マカオ国際音楽祭」。ホールだけでなく、世界遺産の劇場や教会でも上演され、期間中は街そのものが、会場に様変わりします。ユニークでダイナミックなこのイベントは、音楽ファンでなくても楽しめてしまう充実の内容。約1カ月にわたって、街中には、世界各国からのアーティストが奏でる音楽が響き渡ります。【取材・構成 芹沢和美】

各地で20公演予定 オープニング飾る豪華競演も

ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団と共演するトリノ王立歌劇団

 秋と聞いてマカオの人が思い浮かべるものといえば、中秋節。そして、街を華々しく彩る音楽だ。毎年、世界各国から国際的なアーティストが集まり、さまざまな音楽プログラムが上演される「マカオ国際音楽祭」が、今年も開催。9月29日(金)から10月30日(月)まで、街の各地で20公演が予定されている。

 31回目を迎える今年の話題は、なんといっても、グランド・オープニングを飾るウィーン・フィルハーモニー管弦楽団(オーストリア)とトリノ王立歌劇団(イタリア)による共演だろう。マカオ文化センターで行われる9月29日(金)と10月1日(日)の公演では、イタリアのオペラ作曲家、ウンベルト・ジョルダーノの生誕150周年を記念して、代表作「アンドレア・シェニエ」が上演される予定だ。

世界から著名アーティストが集結 日本人も登場

 公演プログラムのジャンルは、オペラに管弦楽、室内楽、中国の民族音楽、ジャズなどバラエティー豊か。ジャズシンガーのジャズメイヤ・ホーン(米国)、ピアニストのルーカス・ゲニューシャス(ロシア)、ゴスペルグループのソウェト・ゴスペル・クラブ(南アフリカ)など、世界で知られるアーティストがそれぞれのジャンルで観客を魅了する。ビブラフォンをメイン楽器に演奏する藤田正嘉も、唯一の日本人アーティストとして登場する予定だ。

 この音楽祭がユニークなのは、開催場所がホールだけにかぎらないこと。「ドン・ペドロ5世劇場」や「モンテの砦」、「聖ドミニコ教会」らの世界遺産も、舞台に様変わりする。美しい建物や歴史に育まれた独特の風景に、音楽が鳴り響き、普段着の市民が心から楽しんでいるのも、マカオらしい光景だ。気温も下がり、日に日に過ごしやすくなりつつある初秋のマカオ。音楽を楽しむことを目的に、マカオを旅してみるのもいいかもしれない。

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