将棋の最年少プロ棋士、藤井聡太四段(14)が15日、自身の持つデビュー後の連勝記録を「26」に更新した。大阪市の関西将棋会館で指された順位戦C級2組で先手の瀬川晶司五段(47)を108手で破り、歴代最長の連勝記録となる神谷広志八段の28連勝(87年)にあと「2」に迫った。

 中盤以降、難しい将棋が続いたが、最後は藤井四段が持ち前の終盤力で押し切った。「ここまで連勝できるとは思ってもみなかった。自分としても驚いている」。午前10時から始まった対局が終了したのは午後10時53分。天才棋士は深夜まで及んだ激闘を振り返った。

 小学校のとき、自己紹介で将来の夢として「名人をこす」と書いた。名人のタイトル獲得の最年少記録は谷川浩司九段の21歳。藤井四段が毎年昇進すると、最短で5年後の19歳で名人への挑戦者となることができる。名人への長い戦いの前に大記録更新が控える。

 次戦は17日、朝日杯将棋オープン戦で学生名人の東大1年、藤岡隼太アマ(19)と対局する。脱サラし35歳で特例のプロ編入試験に合格した瀬川五段は「ぜひ連勝記録を伸ばしてほしい」。30年破られることがなかった大記録に王手をかける。【松浦隆司】

 ◆順位戦 将棋界で最も歴史のあるタイトル戦「名人」への挑戦者を決める戦い。将棋界は名人を頂点にA級、B級1組、B級2組、C級1組、C級2組の5クラスあるピラミッド構造。最上位のA級にいる10人(今年は11人)が約1年かけてリーグ戦(順位戦)を戦い、優勝者が名人への挑戦者となる。名人へ挑戦できるのはA級のトップのみ。デビュー間もない藤井四段は5クラスの中で最も低いリーグC級2組からスタート。名人の挑戦者になるには最短でも5年かかる。