森友学園問題をめぐる財務省の決裁文書書き換え疑惑で、国会議員に開示されている文書と体裁が異なる「新文書」が存在していることが6日、明らかになった。野党が5日、視察先の近畿財務局で入手した。財務省は複数の文書が存在する理由を答えられず、一方で、書き換え前の原本の存否も明かさない、「ゼロ回答」の調査状況を国会に報告。疑惑解明の見通しは立っておらず、自民党内でも、安倍政権への波及を懸念する声が出ている。

 書き換え疑惑をめぐる財務省の「塩対応」には、自民党内でも疑問視する声が出ている。二階俊博幹事長は会見で「どんな理由で国会から要求された資料が出せないのか、理解できない。明らかにしないと国会審議が進まない」と指摘。首相側近も「政権の傷口が広がる」と口にした。事実解明が遅れれば、麻生太郎財務相だけでなく、森友学園と昭恵夫人の関係が指摘された安倍晋三首相の責任論にも発展しかねず、首相が受けるダメージの拡大にも不安が広がっている。

 一方、立憲民主党など野党は、憲法に基づく国会権限である「国政調査権」を行使した資料提出を与党に申し入れたが、自民党は拒否。立民の辻元清美氏は「与党の危機感が薄すぎる」と批判した。また自由党の小沢一郎代表は、会見で「安倍総理の行政省庁を使った権力の私物化とともに、行政省庁の劣化を象徴する事実ではないか」と述べた。