平昌五輪(ピョンチャンオリンピック)フィギュアスケート男子で66年ぶりの2連覇を達成した羽生結弦(23=ANA)の国民栄誉賞表彰式が2日、官邸で行われた。個人としては最年少で、冬季五輪金メダリストでは初めての受賞。地元仙台の人間国宝が作ったはかま姿で、さらにスケート技術を磨き、国民の期待に応えていくと誓った。

 羽生のはかま姿は、国民栄誉賞の名にふさわしい美しさだった。安倍晋三首相も開口一番にこの話題に触れた。

 首相「このはかまは仙台平(ひら)なんですね」

 羽生「人間国宝である甲田様が直々に作って、送ってくださいました」

 地元仙台の人間国宝、甲田綏郎(よしお)氏(89)が羽生のサイズに合わせ仕立てた特注品。川端康成がノーベル文学賞受賞の際に着用し、歌舞伎・能役者が愛用するなど、一流の者にしか許されないはかまを身に着け表彰式に臨み、気持ちはより引き締まった。「1人の人間として、後ろ指をさされないような生き方をしていきたい。自分の名に、国民栄誉賞という素晴らしい名に恥じないようなスケートをしていくことが大事」と覚悟を示した。

 これまでの27例のうち、23歳での受賞は個人では最も若い。受賞の話を耳にした際には「大変恐縮な気持ちが多くあった」と戸惑った。だが、被災地の方々、ファン、仲間ら、応援して支えてくれた多くの方にとって「明るいニュースが、光になっていただけていたら」と受け入れた。「みなさまと取れた賞というのがすごくある」とし、恒例の記念品をもらうことは辞退した。

 使命がある。世界最高点の更新、アジア男子初の五輪金メダル、史上初の4回転ループ成功…。これまで数々の歴史を刻んできたが、「自分が達成したいこと、技がまだまだある」。既に挑戦を公言している4回転半や5回転ジャンプなど前代未聞の技の成功を目指す。「期待に応えるだけの技術、芸術をもっていなくてはいけないと強く思っている。これからも身を引き締めて頑張っていきたい」。偉大な賞の重さを力に変えて、国宝のスケーターとして歩んでいく。【高場泉穂】