返礼率3割、地場産品に限る-。「ふるさと納税」の返礼品をめぐり、総務相通知に従わない自治体を制度から除外する方針を示している総務省の野田聖子総務相(58)に対し、昨年度の寄付額が全国トップの135億円だった大阪府泉佐野市が28日、都内で会見し「一方的に条件を押し付けている」と強く批判した。

会見した八島弘之副市長は返礼率3割の根拠や地場産の定義も曖昧だと指摘。「自治体を含めて幅広い議論をすべき」と訴えた。地場産でない牛肉、隣町の格安航空会社の航空券と交換できるポイントなどを返礼品にしたことを「肉・コメ・カニという人気の産品がなく、アイデアを積み重ねた」と説明した。

7月に総務省から名指しされた12自治体にも困惑が広がっている。iPadなどの返礼品で昨年、町税収の3倍近い72億円の寄付があった佐賀県みやき町は9月11日でiPadなど200品目を削除し、返礼率も3割にした。末安伸之町長は「野田氏は就任時に返礼品は自治体に任せると言ったはず」とした上で「人気が集まる地場産業のある自治体ばかりではない。地方の実情を分かっていない」と反発する。

寄付金はすでに小中学生の給食費無料化や地域振興プロジェクトなどの貴重な財源となっており、「財政的に厳しくなる」とも明かした。末安町長は「早く地方や有識者も入れた議論を行い、制度設計を急がないと、毎年のように混乱が続くことになる」と話した。

◆ふるさと納税 応援したい自治体に寄付すると、住民税や所得税が軽くなる制度。年収などで決まる上限以下なら自己負担は2000円。都市部に集中する税収の偏りを是正し地域活性化につなげる目的で08年に導入されたが、近年は返礼品の高額化などが問題となっていた。