参院議院運営委員会は25日の理事会で、参院選比例代表で初当選したれいわ新選組の舩後靖彦氏(61)、木村英子氏(44)が、国会内で活動しやすいように、8月1日の臨時国会召集日までに本会議場の議席の改装工事など、必要な対応を早急に進めることで合意した。

2人の議席は、所属会派にかかわらず、議長席からみて右側最後列のエリアに設置する。3席分を2人で使う形になるという。背もたれの撤去など必要な工事を早急に進め、1日の本会議から利用できるようにする。2人の議場への出入りについては、この席に最も近い、普段は使用されていない扉が利用される。

このほか、介助者についても事前の届け出を踏まえて議場への入場を認める。起立採決の際は、介助者の挙手による代理の賛否表明を行い、記名投票の際には当面、参院の参事に委託する形となる。押しボタン式投票装置の設置は、今後整備する。

服装は、本人の状態に応じて活動しやすいスタイルが認められる。電動車いすのための電源も、今後設置される。

議員会館は、低層階の部屋を割り当てる。議員宿舎も、現在の空室の中で、障がいがある人が利用しやすい部屋を割り当てるという。宿舎にはこれまで、家族の滞在しか認められていなかったが、介助者も滞在できるよう、認められることになるという。

委員会後、取材に応じた立憲民主党理事の白真勲議員は「将来的に、本人のご希望を聞きながら対応していく。99%ではだめだ。100%の意志が国会に通じるように、我々も対応したい」と述べた。その上で、国会議事堂が1936年(昭11)にできた歴史に触れ「お年寄りや身体の不自由な方に親切な建物ではない。改修工事はその都度してきたが、これを機に、しっかりバリアフリーの建物にするため、国会議事堂が先頭走者になろうと意見が一致した」と明かした。

自民党理事の大家敏志議員も「これまで(高度なバリアフリー対応が)なかったことが、問題だという指摘もある。遅れていることを踏まえながら、現状を変えたい」と、述べた。今回の対応はいずれも規則を変えることなく、議運内の合意事項として認められた。

舩後氏からは、将来的に介助者を通さずに意思表明するため、「分身ロボット」の「OriHime」の活用希望が出ている。この「OriHime」の活用を含め、今後議運でも検討していくという。

一方、れいわの山本太郎代表は、2人が参院厚労委員会に所属することができるように、自民、公明両党に配慮を求めている。所属委員会は、今後会派の割り振りが正式に決まった後の対応になるが、末松信介・議院運営委員長は、山本氏の主張について「頭に置いておきます」と述べた。

れいわの2人以外に、車いすを使っている国民民主党の横沢高徳氏についても、会派にかかわらず、いす部分のない議席を割り当てるなどの対応が取られる。