日産自動車の元会長カルロス・ゴーン被告(65)が、日本時間の8日午後10時から逃亡先のレバノンで記者会見を行い、インターネットテレビ「Abema(アベマ)TV」が会見の模様を生中継で報じた。

ゴーン被告は、19年12月29日に日本から逃亡したことに関しては「皆さんが興味があることは分かっているが、どうやって日本を脱出したかは話はしない」と詳細を語ることは避け続けた。ただ質疑応答の中で、レバノンに到着した際の思いを聞かれると「19年12月30日、ここに到着し、レバノンで妻と再会できた。全く、感情を感じなかった。感情を持つのは危険だったから」と感情を限界まで押さえて逃亡作戦の遂行に集中したことを示唆した。

さらに「もちろん神経質になったし、何としても脱出したかったし希望も持っていた。専門家がいたので(日本で最初に逮捕されてから)13カ月の悪夢を終わらせたかった。検察官の前で常に向き合ってきたが、私は妻と会いたかった」と専門家がサポートしていたことは認めた。同被告は、その後「逃亡の際、ケースに潜んだ。問題はなかったか?」とさらに聞かれたが「お答えしません」とかわした。

ゴーン被告は日本への愛も強調した。

「日本を心から愛している。正義こそが名声を取り戻す手段。日産の価値を取り戻すにはそれしかない」

「(11年の東日本大震災で)津波が起きた時、誰より早く日本に戻り、福島(第一原発)の近くの、いわきのプラントに行った。誰も行かなかったが、現地でサプライヤーとともにやろうと言った」

「子どもは日本で教育を受けた。日本を愛している。なぜ、日本のために良いことをしていた私を悪人にしたのか、分からない」

質疑応答の中で、日本のメディアから「あなたは日本で尊敬されているが日本の法律を犯している。それは間違いでは? 日本国民に教えて欲しい」と質問が飛んだ。ゴーン被告は「保釈中に出国するのは問題かもしれないが、その前に検察が10件の違反をして誰も追求しない。検察官は情報をリークしてはいけないが、リークをしている。でも誰もとがめていない。私の法律違反が問題なら、検察が10件の不正をして良いのか? 日本はそんな国であってはならない」と反論した。

ゴーン被告の会見と質疑応答は、日本時間9日午前0時24分に終了。休憩を含め、2時間24分に及んだ。