第49回衆院選が19日公示され、31日の投開票に向けて12日間の選挙戦が始まった。

宮城5区では元タレントで自民党公認候補の森下千里氏(40)が、石巻市のヨークベニマル蛇田店前で出陣式を行い、街頭演説で第一声を発した。白いトレーナー、ピンクのパンツに、スニーカー姿で登場。「皆様方を元気にしたい気持ちで石巻に飛び込んでまいりました。戦いは今から12日間ではありません。皆様方と心をともにする、この先、一生の戦い。だからこそ、今日この日をスタートにして、皆様とともに生涯、頑張っていきたい」。アイドル経験も生かした笑顔を見せた一方、時には感極まって涙ぐむ場面もあった。

森下氏は19年限りでタレント事務所との契約を解除し、21年3月に衆院選出馬の意向を表明した。同4月には石巻市内に母と愛猫とともに移住。「心細く不安になったこともありました。辻立ちも最初は不安で、聞いていただいているのか、本当にあっているのかと、さまざまな不安の中で訴えておりました」。街頭に立って市民らに語りかける辻立ちは、約半年で2000回超。地域の人たちと顔を合わせてきた。

今年9月の自民党総裁選時には高市早苗氏のインターネットトークショーで進行役。今月16日には石巻市を訪れた岸田文雄首相が開催した女性対話集会で司会に抜てきされるなど、活躍の場をすでに得ている。

石巻の地での出馬は、11年東日本大震災後に自身も好物のカレーの炊き出しで訪れた縁もあった。出馬表明後も、地元農家を訪れて田植え体験をしたり、松島の旅館関係者と意見交換の場を設けたり、名産のカキ工場を訪問するなど、可能な限り地域と交流を持ちながら、現状把握に努めてきた。「震災から10年が過ぎました。つらい体験をしている方というのは本当に優しい方が多い。見ず知らずの私に『頑張ってね』と声をかけてくださいました。これまでにいただいた勇気、元気、やる気を、これからもっとお返ししたい」。被災地のインフラ整備、医療や介護などの人や施設の充実、女性活躍などの政策も訴えながら、各所で呼びかける公示日となった。

同選挙区は立憲民主党の安住淳国対委員長(59)との一騎打ち。8期連続当選中の安住氏は、松島町文化観光交流館から演説を開始した。各所を巡り、夜にはJR仙台駅前での立憲民主党宮城県選挙区合同の演説会に参加する予定だ。【鎌田直秀】