東京・池袋の都道で19年4月に乗用車が暴走し、松永真菜さん(当時31)と長女莉子ちゃん(同3)が死亡した事故の遺族・松永拓也さん(35)が3回目の命日を迎えた19日、事故が発生した午後0時23分に現場前に建立された慰霊碑に献花した。慰霊碑には花を手向ける人が後を絶たず、生きていたら小学校に入学していた莉子ちゃんへ自由帳と鉛筆を供えた人もいた。義父の上原義教さん(64)と取材に応じた松永さんは「2人にとても会いたい、抱き締めたい」と涙した。

3年前に妻子の遺体と対面し「命を絶とう」と思ったが「2人が喜ぶわけがない。事故を減らすために活動していく」と誓った。ただ、自動車運転処罰法違反(過失致死傷)罪で禁錮5年の実刑判決を受けた旧通産省工業技術院元院長・飯塚幸三受刑者(90)が昨年10月に収監されるまで2年半かかった。松永さんは「苦しい刑事裁判も寂しい思いも全部、交通事故が起きるから」と語った。

5月13日から改正道交法が施行され、過去3年間に違反歴がある75歳以上の運転者は免許更新時に運転技能検査が義務付けられる。松永さんは「大きな1歩。同時に試験で落ちた方を社会としてどうフォローしていくのか?」と問題を提起した。その上で「地方では自家用車がないと生きていけない。速度の出ない車に補助を出したり、公共交通機関の拡充など議論が足りない。免許返納が増えただけでは根本解決じゃない」と訴えた。【村上幸将】

 

◆池袋暴走事故 19年4月19日午後0時23分ごろ、東京都豊島区東池袋4丁目の都道で乗用車が約150メートルにわたって暴走し、赤信号を無視し横断歩道に突っ込んだ。自転車に乗っていた松永さん母子が死亡し、運転していた飯塚受刑者と助手席の妻を含む、2歳から90代の男女9人が重軽傷。事故から1年半後の20年10月に同受刑者の刑事裁判の初公判が開かれ、判決は昨年9月に言い渡された。