宇宙航空研究開発機構(JAXA)の野口聡一宇宙飛行士(57)が25日、都内で会見を行い、6月1日付でJAXAを退職することを発表した。

野口さんは、3回目のミッションを終えた頃から「そろそろ後進の人たち、今搭乗を待っている後輩の宇宙飛行士、新たに選抜が始まった新人宇宙飛行士たちに道を譲りたい」と決意し、26年間の宇宙飛行士に別れを告げた。

野口さんは民間企業から1996年にJAXAの前身である宇宙開発事業団(NASDA)の宇宙飛行士選抜試験に合格し、2005年7月にアメリカのスペースシャトル・ディスカバリー号で初の宇宙飛行を行った。09年12月にはロシアのソユーズに搭乗し、国際宇宙ステーション(ISS)に約5カ月間、長期滞在した。20年11月には初の民間宇宙飛行船となる米スペースX「クルードラゴン1号機」に搭乗して3度目の宇宙飛行と、ISSに約5カ月間、長期滞在した。

通算宇宙滞在時間は344日9時間34分で、日本人宇宙飛行士では若田光一宇宙飛行士に次いで2番目。通算ISS滞在時間は335日17時間56分で日本人宇宙飛行士では最長。野口さんの退職でJAXAの現役宇宙飛行士は星出彰彦、若田光一さんら6人になる。

野口さんは昨年12月に東京大学先端科学技術研究センター特任教授に就任している。今後については「JAXA宇宙飛行士として宇宙に行く可能性は限りなくゼロに近いが民間人として宇宙に行く可能性はある」などとして今後の宇宙に携わっていきたいとした。【大上悟】