将棋の第35期竜王戦7番勝負を制した藤井聡太竜王(王位・叡王・王将・棋聖=20)の就位式が30日、東京都渋谷区「セルリアンタワー東急ホテル」で行われた。昨年10~12月に開催された7番勝負は4勝2敗で、広瀬章人八段(36)の挑戦を退けた。28、29日には王将戦7番勝負第3局で羽生善治九段(52)を下して、対戦成績を2勝1敗としたばかり。一夜明けて息つく間もなく、対局会場の金沢市から移動してきた。

藤井は謝辞で、「今期は苦しいながらも充実したシリーズだったと感じています。第1局から第3局はリードを奪われる展開が続き、自分の課題を強く認識させられました。第4局以降も難しい将棋ばかりでしたが、辛抱強く指すことができ、結果につなげることができました。中でも第5局は、対局中に気付かなかった順があり、将棋の奥深さを改めて感じました」と話した。

昨年も王将戦第2局で2勝目を挙げた翌日の1月24日、竜王就位式に臨んだ。この後、王将戦では連勝してタイトルを奪取。19歳6カ月での史上最年少5冠に輝いた。同時に順位戦ではB級1組の最終2局を連勝して、10勝2敗とトップでのA級初昇級を決めた。

今年は来月以降、王将初防衛がかかり、10人総当たりで7回戦を終えた現在6勝1敗と単独トップのA級順位戦で成績最上位となれば、名人初挑戦権を得る。これに加え、6冠獲得への可能性がある棋王戦5番勝負、2年ぶり4回目の制覇がかかる朝日杯準決勝・決勝が控えている。よく似た日程で1月の公務を終え、さらなる高みを目指す戦いへと向かう。【赤塚辰浩】