将棋の第72期ALSOK杯王将戦7番勝負第4局が9、10の両日、東京都立川市「SORANO HOTEL」で行われ、藤井聡太王将(竜王・王位・叡王・棋聖=20)が挑戦者で先手の羽生善治九段(52)に107手で敗れた。対戦成績は2勝2敗となった。藤井が7番勝負のタイトル戦で2勝2敗のタイスコアに並ばれたのは初めて。第5局は25日から島根県大田市「さんべ荘」で行われる。

【ひふみんEYE】藤井聡太王将の封じ手意外 後手番3連敗だけに、第5局の先手番でどう戦うか?

世代を超えたスターが初めてタイトルを争う第4局は、先手の羽生が角換わりの戦型に誘導。先手、後手とも角交換してから銀を繰り出し、ともに5筋の四段目に銀を据える「角換わり腰掛け銀」に進んだ。

1日目午前から羽生が攻める展開に藤井は堂々と受けに立った。1日目夕、66手目を藤井は2時間24分考えて封じた。羽生の「成桂」を銀で取るか、玉で取るか…。2択の長考に沈んだ。

終局後、決断した玉で取る選択について藤井は「迷った」と明かし、銀で取った場合は「3一角と打たれる手が思っていたよりも厳しくて、(選択した一手で)ちょっとダメにしてしまったのかなと」と悔やんだ。

2日目も羽生の猛攻が続いたが、歩頭に銀をぶつけるなど、「意表の受け」を連発。すさまじい受けで反撃のチャンスを狙ったが、投了に追い込まれた。

敗因について「長考したところで間違えてしまった」と話し、「もう少し読みの精度が足りなかった」と完敗を認めた。

初防衛のかかる藤井は、本年度、保持する5つのタイトルのうち4つを防衛し、過去11回のタイトル戦を全て制している。王将戦は本年度最後の防衛戦となる。過去7回の7番勝負のタイトル戦で、白星先行後にタイスコアに並ばれたのは初めてとなった。

第5局に向け「本局は早い段階でバランスを崩してしまったのは残念。次局以降、内容をよくしていけるようにしたい」と気持ちを切り替えた。