東京都江戸川区の住宅で2月、住人の男性(63)が顔などを刺されて死亡した事件で、警視庁は10日、殺人容疑で、現場近くの区立松江第五中教諭尾本幸祐容疑者(36=江東区)を逮捕した。

尾本容疑者の勤務していた松江第五中学校では午後、記者会見が開かれ、江戸川区教育委員会の蓮沼千秋教育長は「もしこれが事実であるということであれば、まずもって、亡くなられた方のご冥福をお祈りいたしますとともに、心より深く深くおわび申し上げたいと思います」と語った。

尾本容疑者の勤務していた中学の荒巻淳校長は「まったく予想していなかった。それに尽きる」と驚いた表情で話し「まだ、最終的なものが分かっていないので、しっかりと受け止めて、もし事実だとするならば申し訳ない気持ちでいっぱいです」と述べた。

尾本容疑者は昨年度から赴任し、特別支援学級の主任教諭として2年目だった。前任3校でも特別支援学級を計12年担当しており「とおりいっぺんの指導ではなく生徒個々の個性にそって熱意を持って教えていた。スポーティーな元気な中堅教諭で、他の教諭の手本となる人物だった」と荒巻校長は説明。「大声を出すタイプではなく、生徒に静かに諭すように話し、両手を広げるなど体全体で指導し、必ず笑顔をもって接していた」と語った。

区教育委員会によると、尾本容疑者の務めていた中学に早朝、警視庁の捜査員2人が訪れ荒巻校長に尾本容疑者について「身柄を拘束し逮捕した。大きな事件によるものなので詳細は教えられない」と告げたという。区教育委員会では午後3時ごろのテレビのニュースで殺人容疑による逮捕であることを初めて知ったという。

中学校では11日の朝礼で全校生徒に、同夜に保護者に向けた説明会を実施するとしている。

事件の発生した今年2月24日は金曜日。尾本容疑者は午前中は出勤し、午後から休暇を申請して休んでいたという。また、最後の出勤は逮捕前日の今月9日放課後までだった。【寺沢卓】