「江口寿史展 ノット・コンプリ-テッド」が30日から東京都世田谷区「世田谷文学館」で開催される。その内覧会が29日、行われた。「すすめ!!パイレーツ」「ストップ!!ひばりくん」などの代表作で知られる漫画家の江口寿史氏(67)が、同館で展覧会を行うのは初めて。これまで、イラストレーションを軸とした展覧会は数多く開催してきたが、今回は初めて漫画の原画を主としている。

「これだけの漫画の原稿を出したのは初めて。イラストはやり尽くした」。会見に応じた江口氏はこう語った。ちばてつや、安西水丸、谷口ジローといった先輩漫画家の展覧会を、世田谷文学館では行っていた。それを見に来ていたという。

館内には漫画の原画やイラストレーション約500点、下絵など約20点、創作ノートなど約40冊など、約600点の資料が出展されている。このほか、連載を抱えていた時代、集英社に2年間住み込んだ部屋も再現されている。画板の下に、自身の連載漫画が掲載されている「週刊少年ジャンプ」を敷き、電気スタンドにラジカセ、ティッシュペーパーの代わりにトイレットペーパーを置くなど、当時の生活ぶりが手に取るように分かる。「集英社の備品を自分のものにしていた」と、当時のことも語った。

テーマの「ノット・コンプリーテッド」について、「生きている限り、完成はしない。手間を惜しみたくないので、来年2月に閉幕するまで来れば来るほど面白くなる展示にしたい」と、展示物を変える可能性も示唆した。その一方で、子供の時に書いたノートなどは、中身も見せている。こちらはお気に入りだ。

「かわいい」と言われる画風が受け、イラスト展には若い女性がやってくる。「今回は漫画ばかりだから、40年以上前に夢中になっていたオッサンばっかりやってきて、オヤジの熱気でむせ返るのではないか。でも、実直でゴツゴツした感じの昔の手法を若い人に見てほしい」と、期待していた。

展示は来年2月4日まで。