埼玉県の大野元裕知事は29日の定例会見で、トルコ国籍の外国人に短期滞在の査証(ビザ)を免除している協定の一時停止を求めたことについて、あらためて説明した。
埼玉では川口市などで在日クルド人をめぐる共生問題が指摘されている。大野知事は28日、国への県から要望を県選出国会議員に伝える会議で、トルコとの相互査証免除協定の一時停止を求めていた。
大野知事は定例会見で、5月の関東知事会の段階から同様の申し入れをしてきたことを説明。「今のタイミングというよりも、引き続き、これまでと同様におこなっている」と前置きし「外国人住民がともに生活することが当たり前となっており、私ども地方公共団体は、地域を預かる立場として、日本人住民、外国人住民がともに暮らしやすい、そういった地域を目指し、多文化共生社会の実現に向け取り組んでいる。しかしながら、県として、治安に関する不安が住民から寄せられています。県としては、治安維持ならびに法執行、警察の権限でありながらも、川口北警察署の整備や、大幅な警察人員拡充に向けた国への働きかけ。これは今年度の拡充人員の約3分の1以上を埼玉県警で取ってきたことからも見て頂けると思いますし、日本一の我が町防犯隊の組織など、可能な限りの対応を行ってきました」と述べた。
続けて、「しかしながら、繰り返し難民の申請を許可されずに滞在する外国人に対する不安といったことが、それでも寄せられており、いわゆる出口、外国人の出口での対応を国を行わないということであれば、もうひとつの口、つまり入り口、ここにおいて、入国の際に対応していただくしかないと思っている」と指摘。「査証免除協定というのは両国の利益になるという判断で、両国が短期滞在査証の取得を免除するものと理解しておりますけど、この短期滞在査証の取得が免除されているトルコ共和国との間で、トルコ国籍の方の難民申請について課題がある、という統計がありますので、国が出口のところでしっかり処理しない、とすれば、入り口のところ、査証免除については一時停止して、他の国と同様に査証を警視する」と説明すると「一般には査証を取ってもらうことになっていますので、トルコ国籍の方を排除するわけではない」と強調した。
大野知事は根拠として「令和6年度の法務省の難民申請データの上位3カ国で、複数回の申請者、あるいは難民不認定者、いずれもトルコが突出していて、トルコの方々で難民申請を繰り返している方々が、埼玉県に多く滞在されている。それに対する不安が寄せられている、ことが大きな理由」と説明。一方で、「クルド人」の問題かとの問いには「クルド人の関係というのはちょっと私、分からないんですけど、というのはクルド人の統計って存在しませんので、トルコ本国がクルド人の人数そのものを発表していないような中で、我々、残念ながら統計の取りようがありませんので、そのかっこ付きの言葉がわからないんですが、『難民申請を繰り返している方』と申し上げたつもりですけど、それが国籍別に統計として持っているのがトルコだから、ということでございます」と語った。
トルコとの関係性については「(免除協定が)相互に利益があるということで、通常、査証を発給するというのはそれぞれの国の主権の問題であります。この主権の中で、相互に利益があるということで免除しましょうということ。ただ現時点で地方自治体として考えた時に、国の労働者を受け入れるという政策のもとに、生活者として不安があるという声が残念ながら、寄せられているということで、通常に戻してほしい。査証を取得する、あるいは査証を警視する段階、入国前ですけど、その段階で判断をしていただく、ということを国に責任を持った形で求めて(いる)。結果として入って居ついてしまって何度も難民申請を繰り返して、結果として地域の中で不安要素となっているのは、決していいことではない」とコメント。「決してトルコの国民を出て行ってくれ、来ないでくれ、といっているわけではない。他の国と同様のことをすることによって、果たして関係が悪化するかは疑問であります」と繰り返した。
一方、過去2年のデータでも同様の傾向があったため、このタイミングでの申し入れの意図を聞かれると、大野知事は「治安等に不安を感じる方が出てきている」と繰り返し説明。質問者からは「不安が広がっている、というのはぼんやりしている。根拠の部分をうかがいたい」など、「不安」に対する根拠を問う質問が続出した。大野知事は「ずっと続いていますけど、知事への提案といった中で、数多く寄せられている。ただ、犯罪が多いとか一気に増えたとか、そういった統計としては現れてはいません。事実としては、よく川口市とか蕨市の話が出ますけど、人口あたりの犯罪認知件数は新宿区や渋谷区の半分。特にここだけで増えているというわけではありません。ただ、不安が広がっていることは事実、として我々は受け止めている」などと主張した。
また、参院選での参政党の躍進を念頭に、選挙での民意が影響したかとの問いには「全く関係ありません。5月からこういった取り組みはさせていただいている」と強調した。

