午前9時(日本時間同10時)から始まった対局は、午後7時13分、後手の藤井聡太王座(23)が66手で初の海外対局の伊藤匠叡王(22)を下し、3連覇に向けて好スタートを切った。第2局は18日、神戸市「ホテルオークラ神戸」で行われる。

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66手という短手数の決着でしたが、グッと凝縮された大熱戦でした。藤井王座の後手番での雁木(がんぎ)は王位戦第3局でも採用しています。あの時も永瀬九段に快勝しました。完全に手の内に入れて、レパートリーが増えたという印象です。本局のように角道を止めて対抗できると編み出した新研究で、作戦負けにはならないと悟ったのだと思います。

それと感心したのは、盤外での視野の広さ。対局前の会見で、「将棋は大変面白いゲームですが、世界ではまだ認知されていない状況です。言い方を換えれば、将棋の魅力を知っていただく余地を残しているということになります」と発言しています。目の前の対局に集中したいはずなのに、ゆとりを感じました。

伊藤叡王は相変わらず、簡単に土俵を割りません。叡王を今年防衛し、ここまで12連勝というのは、この粘り腰に象徴されるでしょう。

両者は、昨年6月の叡王戦5番勝負以来の対戦だそうですね。そこから1年間で、お互いどれだけ成長としているかが問われるシリーズと思います。将棋界のタイトルを二分する、同学年の2人の大激戦を期待しています。(加藤一二三・九段)