ソングラインの池添騎手が、ヴィクトリアM5着のリベンジを果たした。「前回は本当にうまく乗れなかった」。そう反省して臨んだ今回。スタート、位置取り、コース選択、仕掛けのタイミング。このすべてが完璧だった。
ゲートを真っ先に飛び出すとホウオウアマゾン、レシステンシア、ダノンザキッドを行かせて4番手。さらに外からサリオスが来ると、無理な競り合いは避けて後ろに潜り込んだ。序盤4ハロンで11秒台を刻んだのは最初の2、3ハロン目だけ。速いところで控えて、しっかり脚をためた。
仕掛けのタイミングも絶妙だった。本来なら折り合ったポジションで直線まで我慢するところだが、残り800メートルでサリオスの外から動いていった。流れが遅く、しまいは瞬発力勝負になると判断。だから惰性をつけて上がっていった。もし、後ろの馬に差されたら、早仕掛けと言われても仕方ない。それでも動いた勇気。「勝負師」池添の真骨頂だ。
さらに直線は外が密集することも予想できた。内は馬場が荒れており、ホウオウアマゾン以外は3分どころから外へ持ち出した。後ろから先にまくられたら馬群に閉じ込められる。後続セリフォスの動きにも警戒の目を向けながら、早めのスパートで馬場のいい外めを突き進んだ。
「残り1ハロンでもう1段、ギアが上がった」(池添騎手)のは、序盤のためが利いている。上がり3ハロン32秒9。それでも2着シュネルマイスター、3着サリオスとは首+頭差の接戦だった。池添騎手の100点満点の騎乗が、ソングラインに悲願のG1制覇をもたらした。