<七夕賞>

田中勝春騎手の「技」が光った。逃げたのはロザムールだが、後半はエヒトがレースを支配した。前半1000メートルは58秒5。予想通りのハイペースになったが、6番手を追走したエヒトは残り800メートルから加速。4ハロン連続で11秒台という高速ラップの中、一気にポジションを上げた。4角3番手から後ろを待たず先頭へ。

1番人気ヒートオンビートの友道師が「流れに乗って行けなかった」というロングスパートで勝負を決めた。ペースが速いのは分かっている。それでもゴーサインを出した。このあたりがベテランの味。経験値が違う。絶好の手応えを感じつつ「馬任せでいった」。この積極策で前の組は苦しくなり、後続は引っ張られてなし崩しに脚を使った。

もちろん、馬の状態が良かったこともあるが、行く気を見せる“相棒”の邪魔をせず、リズム良く直線を向いたのが勝因。最後まで勢いは衰えなかった。1分57秒8の好時計を早仕掛けで2着に2馬身半差。上がりもメンバー2位の34秒4。余すことなくエヒトの力を出し切った、カッチー(田中勝騎手の愛称)会心の騎乗だった。

エヒトで七夕賞を制した田中勝春騎手は見上愛から優勝杯を渡され笑顔(撮影・柴田隆二)
エヒトで七夕賞を制した田中勝春騎手は見上愛から優勝杯を渡され笑顔(撮影・柴田隆二)