サクラトゥジュールの切れ味を、キング騎手が見事に引き出した。折り合いの難しいタイプだが、道中はホウオウビスケッツの後ろにつけ、行きたがるのをなだめた。内枠で前を壁にできる運もあったが、ためすぎず機嫌を損ねないように集中力を保った。

4コーナーでの手応えも十分。あとは進路を探すだけ。いったんはホウオウビスケッツの外へ行きかけたが、先行したサウンドビバーチェの手応えが良くないと見るや瞬時に内へ切り替えた。あまり前へ詰めすぎると進路を変えるのは難しい。適度な「距離感」がビクトリーロードへ導いたといっていい。

残り300メートルはウインカーネリアン、トゥードジボンの間。ぎりぎりまで追いだしを我慢していた分、抜け出す時の脚も速かった。初コンビを組んだ中山金杯(12着)は、位置を下げすぎてリズムを崩したが、今回は無理に控えず好位付け。わずか1戦で馬の癖をつかみ、結果を出すあたりはさすがだ。

これでキング騎手はAJCCのチャックネイトに続く重賞2勝目。タイプの違う2頭を見事に乗りこなした。残り1カ月、さえる手綱さばきに注目したい。

東京新聞杯を制したサクラトゥジュールのキング騎手(左)は全尚烈オーナーとガッツポーズ(撮影・柴田隆二)
東京新聞杯を制したサクラトゥジュールのキング騎手(左)は全尚烈オーナーとガッツポーズ(撮影・柴田隆二)