<ラジオNIKKEI賞>
田辺騎手の「引き出し」の多さには驚く。スタートで立ち遅れたオフトレイルは1コーナーを最後方で回った。先行有利の福島、開幕週の高速馬場ではありえない位置取り。だが「前が速い」と、あえて集団には取りつかず。末脚を信じてしまいに懸けた。この戦術転換をテン乗りでできるところが田辺のすごさだ。
向正面では先行勢とかなり差がついたが、無理に詰めてはいかない。残り800メートル地点で、すぐ前のサトノシュトラーセがポジションを上げた時も、逆にひと息入れたほど。この日は外差しが結構決まっている。その傾向も頭に入っていたのだろう。ラップが上がった(11秒9→11秒5)ところで我慢したことが、究極の末脚を引き出したといっていい。
4コーナーでゆっくり前に接近すると、直線は大外へ。このコース取りも素晴らしい。前半のロスを挽回するには、内を突く選択もあったが、馬群の中で不利を受ければ加速した勢いを止めてしまう。差し切れる手応えを感じつつ、迷いなく大外へ出した。
もう1度、同じ乗り方をして、勝てるかは分からない。その時のペース、他馬の動き、コース取りを瞬時に判断して勝利に導く。福島コースを知り尽くしている田辺騎手だからできた豪快な差し切りだった。



